疥癬というと通常は皮膚疾患としてとらえられていますが、性交渉において感染しやすいため、性感染症と考えることもできます。
性器に限らず、肌と肌が密着するセックスで感染しやすいのは当然でしょう。
この記事では疥癬の症状や感染ルート、治療法についてまとめてあります。
目次
激しい痒みの皮膚病を起こす疥癬
疥癬はヒゼンダニ(Sarcoptes scabiei)という小さな(雌で0.4mm、雄で0.3mmほど)ダニが皮膚に寄生することによって起こる皮膚感染症で、親密な接触によって起こるため性感染症としても捉えられています。
ヒゼンダニは皮膚の表面ではなく皮膚を穿孔して開けたトンネルの中に棲息します(疥癬トンネル)。そのため皮膚病の中でももっとも強烈とも言われる痒みを起こす皮膚病として知られます。
病院に行くのなら皮膚科に行きましょう。
疥癬の感染経路と潜伏期間
疥癬の感染経路
普通の疥癬では感染力が弱く、密接な接触があると感染が成立します。性交渉がなくても添い寝などでも伝染る可能性があります。
角化型疥癬(後述)の場合は感染力が強く、患者から脱落した角質・表皮から容易に感染しますので、病院や老人ホームなどで集団発生することがあります。
疥癬の潜伏期間
感染から約1ヶ月で発症すると言われています。
疥癬の症状
普通の疥癬
きわめて激しい痒みを生じます。
主な発生部位は
- 手や手首(患者の60%以上で認められます)
- 肘(患者の10%以上で認められます)
- 足(患者の約10%で認められます)
- 陰部(患者の約10%で認められます)
- 臀部(患者の約5%で認められます)
- 他にも胸やお腹、脇などにも発生します。頭部以外の全身で発生する可能性があります。
患部には丘疹や結節、疥癬トンネルが認められます。
疥癬トンネルとは手や手首によくできる病変で疥癬特有のものです。角質内に潜り込んだ疥癬が水平に角質にトンネルを掘りながら移動します。トンネル内には糞や卵を残します。長さは数mmになる場合があります。
角化型疥癬(別名:ノルウェー疥癬)
重度の感染症や悪性腫瘍などで免疫が弱っている人や抵抗力の落ちている高齢者などで起こります。あるいは臓器移植や膠原病で副腎皮質ホルモンや免疫抑制剤を使用している人でも発症することがあります。
患者に寄生するダニの数は普通の疥癬では1,000匹程度と言われていますが、角化型疥癬では100万~200万匹とケタ違いに多く、非常に感染力が強くなっています。
手や足などの骨ばった摩擦を受けやすい場所に、非常に分厚い灰色~黄白色の汚い角質(垢)が付着します。
普通の疥癬では頭部には病変はできませんが角化型疥癬では頭や首筋、耳たぶに発症することもあります。
興味深いことに痒みは必ずしも激しいとは限らず、さまざまな程度があります。
疥癬の治療方法
内服薬
イベルメクチン
外用薬
硫黄剤・クロタミトン・安息香酸ベンジル・ペルメトリン・γ-BHCなどの外用剤を塗布します。
普通の疥癬では頭部以外の全身にくまなく塗ります。角化型疥癬あるいは乳幼児では頭部も含めて全身に使います。
治癒後も丘疹や結節や痒みはしばらく(2~3週間、時に数ヶ月)残りますので、1~2週間隔で2回連続で疥癬が検出できず、あらたに疥癬トンネルが発生していなければ、痒みや病変が残っていても治癒したと判定されます。(再発のリスクは残りますので数ヶ月は注意が必要)
疥癬の検査方法
皮膚から取った検体を顕微鏡で調べて、ヒゼンダニ虫体、卵、卵の抜け殻、糞を見つければ疥癬と診断できます。
特に疥癬トンネルの先端から高確率で検出されます。
角化型疥癬の場合は角質(垢)から簡単に見つかります。
疥癬は自宅では検査できません
疥癬の検査キットはありませんが、痒みと特徴的な病変、周囲の人も痒がっている、などから十分疥癬の可能性を予測できます。
特徴に当てはまるのなら病院へ行って治療を受けるようにしましょう。
参考:日本皮膚科学会知りたい性病をチェック!
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