アメーバ赤痢と聞くと熱帯地方にだけあるような特殊な伝染病で、日本に住んでいる自分には関係ないというイメージが強い人がほとんどでしょう。
しかし、現在日本ではアメーバ赤痢が非常に増えてきています。
それも海外で感染するのではなく、日本にいて性交渉によって感染する例が多いのです。
この記事では性病として年々増加傾向にある赤痢アメーバ症についてまとめてあります。
目次
意外な性感染症としての赤痢アメーバ症
赤痢アメーバ症(アメーバ赤痢)は人の腸管に寄生する原虫(単細胞からなる寄生虫)によって大腸炎や肝膿瘍を起こす感染症です。
アメーバ赤痢は主に発展途上国において今なお多くの患者がいる感染症で、全世界で5,000万人の患者が発生していると言われています。
近年は日本でも年々患者数が増加する傾向にあります。
戦後の環境衛生が悪かったために広がった状況とは異なり、現在は、男性同性愛者を中心に性感染症として広がっています。
アメーバ赤痢の感染経路と潜伏期間
アメーバ赤痢の感染経路
感染者の
- アナルをなめる
- アナルに触れた性器や指などをなめる
ことにより感染が成立します。
皮膚や粘膜から感染することはありません。感染者の便に含まれる赤痢アメーバを口にすることで感染しますので、そこさえ気をつければ感染を予防できます。
アメーバ赤痢の潜伏期間
アメーバ性大腸炎
2~6週間
アメーバ性肝膿瘍
5ヶ月以内
アメーバ赤痢の患者数
1999年に276人だった患者数は年々増加して2014年には1,134人にまで増えています。
男女比でみると男性は女性の約6倍の患者が発生していて圧倒的に男性が多くなっています。
アメーバ赤痢の症状
アメーバ性大腸炎
大腸に達した赤痢アメーバ原虫が粘膜に潰瘍性の病変を作り大腸炎を起こします。
- 下痢
- 粘血便(いちごゼリー様)
- しぶり(便はほとんど出ないのに便意がある)
- 下腹部痛(排便時)
これらの症状が悪くなったり良くなったりを数ヶ月~数年に渡って繰り返します。
多くは発熱もなく、普通に社会生活を営めます。
約5%の患者で肝膿瘍を併発します。
アメーバ性肝膿瘍
肝臓に膿瘍(うみの溜まった袋)を作ります。
- 38℃以上の発熱(1週間以上続く)
- 上部腹痛(病期の進行とともに現れ、腹部右側にでやすい)
- 約50%で大腸炎症状が現れますが、残り50%は消化器症状がありません。
治療が遅れると命にかかわることがあります。
参考:厚生労働省アメーバ赤痢の治療方法
抗原虫薬のメトロニダゾールを20日間投与します。
肝膿瘍では必要に応じて穿刺して膿を出す処置をします。
一般に、メトロニダゾールで完治しますが、しばらくは自分の便から再感染する可能性があるので治癒の判定には2~3ヶ月要します。
注意として、一般の医師はアメーバ赤痢を疑わないことがあります。正確な診断のためにも性交渉があったことを告げてアメーバ赤痢の検査を求める必要があります。告知をしづらい場合は代わりに半年以内に東南アジアへ行ったと言ってもかまいません。
アメーバ性大腸炎は他の大腸炎と間違われてステロイドを使用されると非常に悪化して、腸穿孔を起こすと命を落とす危険があります。自分で疑いがあると思うならきちんと医師にアメーバ赤痢の検査をお願いしましょう。
アメーバ赤痢の検査法
アメーバ性大腸炎とアメーバ性肝膿瘍では診断方法が異なります。
アメーバ性大腸炎
- 便を調べて、顕微鏡的、免疫学的、遺伝子診断でアメーバ原虫の存在を確認します。
- 内視鏡検査で大腸粘膜のアメーバ赤痢病変を確認します。
- 血液検査で赤痢アメーバ抗体を検出します。
アメーバ性肝膿瘍
- 超音波検査やCT検査で肝臓内の膿瘍を確認します。
- 膿瘍の貯留液を採取して赤痢アメーバ虫体を確認します。
- 血液検査で血清アメーバ抗体の上昇を確認します。
アメーバ赤痢は報告義務のある病気です
アメーバ赤痢は感染症法で5類感染症に指定されています。アメーバ赤痢を診断した医師は7日以内に報告義務のある、全数報告対象の感染症です。
アメーバ赤痢は自宅で検査できません
アメーバ赤痢は自宅で検査できませんので、かかっている可能性があると思うのでしたら病院に行って検査をしてもらう必要があります。
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