日本でも非常に多く発生している性病であっても性病検査キットでは検査ができない性病や、できるとしても限られた検査キット会社でしか検査を行っていない性病があります。
気になる性病が検査できなかったら困りますよね。
日本でほとんど発生していないような性病の場合、郵送を使った性病検査キットでは検査をすることができません。これらは需要と供給の関係から、ある程度は仕方がないのかもしれません。
しかし、それなりに発生数のある性病ではいざ検査しようと思って注文したら検査項目に入ってなかった、なんてことにならないよう検査できる性病を把握しておきたいところです。
この記事では、病院でしか検査できない性病や、限られた検査キット会社でしか検査できない性病についてまとめてみました。
特定の性病を検査したい時は検査できるのかをチェックしておきましょう。
目次
性病検査キットで検査できない性病
当サイトに掲載しているGME医学検査研究所、さくら検査研究所、STDチェッカー、ふじメディカル、kensa.biz、予防会の6社において、現時点で性病検査キットの検査項目になっていない性病です。
病院でのみ検査・診断が可能な性病は以下のものがあります。
細菌性腟症
細菌性腟症はおりものの異常を起こす性病です。
細菌性腟症は常在細菌のバランスが崩れてしまって起こるもので、特定の病原菌があるわけではありません。
なので、特定の性病検査があるわけではく、キットで診断することはできません。
診断は病院での診察で症状から判断したり、WHOの診断基準から判断します。
WHOの診断基準は以下の4項目中、3項目に当てはまる場合に細菌性腟症とします。
- 腟分泌物の性状は、薄く、均一である。
- 腟分泌物の生食標本で、顆粒状細胞質を有するclue cells が存在する。
- 腟分泌物に、1 0% KOH を1滴加えた時に、アミン臭がある。
- 腟分泌物の pH が4. 5以上である。
直接、細菌性腟症を性病検査キットで検査することはできませんが、膣カンジダ症や膣トリコモナス症との鑑別のために、性病検査でこれらの性病ではないことを確認することには意味があります。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/saikinnseichitushou/”]
赤痢アメーバ症
赤痢アメーバ症は、寄生虫を病原体として下痢や粘血便などの症状の大腸炎を起こす性病です。
アメーバ赤痢の診断には、便や大腸粘膜からの検体を使って、顕微鏡でアメーバ原虫をみつけたり、免疫学的検査や核酸増幅法でアメーバ原虫の存在を証明します。
あるいは血液を取ってアメーバに対する抗体を調べます。
どちらの方法も、現時点では性病検査キットの検査項目には採用されていません。
なので、診断するためには病院へ行って検査を受けるしかありません。
注意として、一般の医師はアメーバ赤痢を疑わないことがあります。正確な診断のためにも性交渉があったことを告げてアメーバ赤痢の検査を求める必要があります。
告知をしづらい場合は代わりに半年以内に東南アジアへ行ったと言ってもかまいません。(東南アジアでは性行為以外からの感染が珍しくない)
[blogcard url=”https://sticheckup.com/entamoeba/”]
毛じらみ
毛じらみは、寄生虫によって起こるかゆみを特徴とした性病です。
毛じらみの診断は、実際に陰毛に寄生する毛じらみ虫体を確認するか、陰毛に産み付けられた卵を確認することで診断します。
ルーペを使えば個人でも判断できるかもしれません。
また、下着に毛じらみの排出した糞が黒くシミになることからも推測できます。
よって、性病検査キットの検査項目としては不向きなため検査できません。
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疥癬
疥癬は、ダニによって起こる強烈なかゆみを特徴とした皮膚病です。
疥癬の診断は、かゆみの出ている皮膚病変から取った検体や垢を顕微鏡で調べて、疥癬の成虫や卵などを見つけて診断します。
正確に診断するためには、専門家が検体を採取する必要があります。
よって、性病検査キットでの検査はできません。
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軟性下疳
軟性下疳は、性器に強い痛みをともなった潰瘍を作る性病です。
軟性下疳の診断は、病原菌を直接あるいは培養して顕微鏡で確認することですが、日本ではほとんど発生がないため、検査のできる機関はありません。
発生があった場合は、特徴的な症状から視診・触診のみで診断が行われます。
当然、性病検査キットでの検査もできません。
ただし、性器ヘルペスや梅毒の可能性を除外するための性病検査は必要です。
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性器伝染性軟属腫
性器伝染性軟属腫は、性器にさまざまな大きさのイボを作る性病です。
性器伝染性軟属腫は、症状から診断可能です。場合によっては病理検査が必要なこともあります。
感度は十分ではありませんが、血清中のウイルス抗体を測定することもあります。
しかし、いずれの方法も性病検査キットで行うことはできません。
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性病性リンパ肉芽腫
性病性リンパ肉芽腫は、性器に痛みのない潰瘍を作る性病です。
性病性リンパ肉芽腫は、その人の経歴(海外での性行為)、症状と合わせて病原菌のクラミジアの検出、抗体検査、核酸増幅法による抗原検査などから診断します。
性病性リンパ肉芽腫の病原菌は、性器クラミジアと同じクラミジア・トラコマチス(Chlamydia trachomatis)です。
しかし、性器クラミジアの病原菌とは血清型が異なるため、性病検査キットでは調べることはできません。(性病性リンパ肉芽腫のためのキットはありません)
[blogcard url=”https://sticheckup.com/seikirinpanikushu/”]
鼠径部肉芽腫
鼠径部肉芽腫は、性器にできる徐々に大きくなっていく潰瘍が特徴の性病です。
鼠径部肉芽腫は、その人の経歴(海外での性行為)にプラスして分泌液や膿から病原菌の確認、抗体価の測定をして診断します。
特定の国では多い性病ですが、日本ではまれなため性病検査キットの項目には採用されていません。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/granulomatis/”]
一部の性病検査キットでのみ検査可能な性病
ほとんどの検査キットで採用されていませんが、一部の検査キットでは検査可能になっている性病です。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマは、性器を中心に多数のイボを作る性病です。
尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)によって起こります。
HPVのは180種の遺伝子型があり、尖圭コンジローマの原因になるのほとんどが6型と11型です。
多くの性病検査キットにHPVの検査がありますが、これは子宮頸がんの原因になると言われているHPVで遺伝子型が16型や18型などを検出するものです。
この検査では尖圭コンジローマの原因である6型、11型の検出はできません。
唯一、kensa.bizでのみ尖圭コンジローマの検査が可能です。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/papilloma/”]
性器ヘルペス
性器ヘルペスは、痛みのある潰瘍を起こす性病で、性器以外に全身のあらゆるところにも出る可能性があります。
性器ヘルペスは、その特徴的な症状と病変から採取した検体で抗原検査を行って診断します。
病院では、即時に抗原検査ができるようになっていますが、性病検査キットで性器ヘルペスの検査を取り入れているところはほとんどありません。
唯一、kensa.bizでのみ性器ヘルペスの核酸増幅法による抗原検査が可能です。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/herpes/”]
非クラミジア性非淋菌性尿道炎
非クラミジア性非淋菌性尿道炎は、男性に尿道炎を起こす性病です。
淋菌以外による尿道炎(非淋菌性尿道炎)の多くはクラミジアによるものです。
それ以外の原因による尿道炎を非クラミジア性非淋菌性尿道炎(これも性病です)といい、マイコプラズマとウレアプラズマが原因と考えられています。
ほとんどの性病検査キットでは、尿道炎を起こす性病の検査項目に淋菌とクラミジアの2種しか採用していません。
そのためマイコプラズマとウレアプラズマが原因の非クラミジア性非淋菌性尿道炎の場合は、見逃されることになります。
唯一、STDチェッカーでは、淋菌とクラミジアにセットでマイコプラズマとウレアプラズマを測定することができます。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/nonchlamydiangu/”]
クラミジア、淋菌、マイコプラズマ、ウレアプラズマの4項目検査(STDチェッカー)
成人型T細胞白血病リンパ腫
成人 T 細胞白血病リンパ腫(ATL)は性病に含まれないことが多いですが、性行為により男性から女性へ(夫婦の場合)20%の確率(2年間)で感染するため、性病として予防をすすめていくことが望ましいのです。
まだ、世間では性病としての認識がないために、ほとんどの性病検査キットに含まれていません。
唯一、kensa.bizでのみATLの病原ウイルスであるHTLV-1の抗体検査を行うことができます。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/htlv-1/”]
HTLV成人T細胞白血病ウイルス抗体検査(kensa.biz)
まとめ
数多く発生している性病であっても、必ずしも性病検査キットで調べることができるとは限りません。
多項目のキットで検査をして陰性の結果が出たとしても、すべての性病が感染していないということではありません。
気になる症状があるのでしたら、疑われる性病が性病検査キットの項目に含まれているかどうかを確認しましょう。
性病の種類によっては個別に単項目で検査を受けなければいけない、あるいは病院でしか検査をすることができないかもしれません。
しっかり確認して無駄なく検査を受けましょう。
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