数ある性病の中で、クラミジアや淋病はもっともポピュラーな性病と言えます。
ゆえに男性が性病になったというと、クラミジアや淋病の尿道炎による”尿道から膿がでる”症状を思い浮かべるんじゃないでしょうか?
一方、女性のクラミジアや淋病の症状として、まっ先に思い浮かべるのはおりものの異常。
実際、女性が尿道炎になることはあまりありません。
性病以外でも、女性では膀胱炎はよくあるのに男性ではあまり膀胱炎になることはなく、女性と男性で違いがあるようです。
このような男女の違いはどういう理由で起こってくるのでしょう。
この記事ではその違いの理由についてくわしく解説し、男性特有といえる尿道炎について掘り下げてまとめてあります。
クラミジア・淋病について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/chlamydia/”] [blogcard url=”https://sticheckup.com/neisseria/”]目次
男性が経験した性病の症状でもっとも多い尿道炎
性病の種類は意外に多く、日本性感染症学会が性病として取り上げているものは17種類もあるんですよね。
それぞれの性病によって発症部位や症状はさまざまで、性病になったらこの症状が出るとは一口に言うことはできません。
しかし、一般に男性が経験した性病の症状の統計を取れば、もっとも多いのは尿道炎の症状であることはまちがいないでしょう
男性では性器クラミジア・淋菌感染症(淋病)・非クラミジア性非淋菌性尿道炎の患者数が圧倒的に多いことを考えれば容易に想像できますね。
ところが女性では状況はまったく変わってくるんです。
これらの病原菌によって女性が尿道炎を起こすことはほとんどないのです。
他の性病を含め、女性の性病の症状で尿道炎が挙げられることはありません。
対照的な話として、一般的なオシッコの病気というと膀胱炎がありますが、女性が膀胱炎になったとは聞いても男性でなったとはあまり聞きませんね。
男性は尿道炎、女性は膀胱炎。男女のこの違いは、実は体の構造の違いからくるものなのです。
男性と女性の尿道の違いが性病症状の違いを生む
男性の尿道炎を理解するには、男性と女性の尿道の違いを知っておく必要があります。
下図は男性と女性の泌尿器系を表した解剖図です。
ピンク色の部分が膀胱(Urinary bladder)ー尿道(Urethra)でオシッコの移動する経路(尿路)です。
この図を見て一目瞭然でわかることは、女性の尿道は太く短く、男性の尿道は細く長いということです。
圧倒的に違いますよね。
この違いが男女の性病や泌尿器疾患の違いにつながります。
侵入してくる病原菌の道のりが異なる
次に男女の尿路の違いによる感染の仕方の違いについて詳しく説明してみましょう。
膀胱炎の場合
健康な人の尿道や膣は完全な無菌状態ではありません。
普通に生活をしていれば常に外から雑菌が侵入してきます。
さらに菌は尿道口(オシッコの出口)から尿道をさかのぼって膀胱へと入ってきます。
ところが、膀胱へたどり着いた菌は尿と一緒に洗い流されてしまうので、膀胱で繁殖するまでいきません。
そのため通常は膀胱炎にまでならないのです。
しかし、女性では尿道が太く短いために雑菌が膀胱へ達するまでにあまり時間がかかりません。
オシッコを我慢したりすると菌が繁殖するのに十分な時間を与えてしまうことに。
次にオシッコをする時には増殖した菌が粘膜にまで入り込んでいて、もう洗い流すことができなくなっています。
結果、粘膜に残った菌はさらに繁殖して膀胱炎になってしまうのです。
これが女性に膀胱炎が起こりやすい理由です。
一方、男性の場合は尿道が長いために雑菌が膀胱にまでたどり着くのに時間がかかります。
やっと膀胱にたどり着いたと思ってもすぐに排尿で洗い流されてしまいます。
つまり菌が増殖する時間的な余裕があまりないのです。
そのため男性では膀胱炎が起こりにくいのです。
では、性病(尿道炎)の病原菌はどうでしょう?
感染者の膣分泌物に含まれる淋菌やクラミジアは、性交時に男性の尿道内に入り込みます。
尿道に入り込んだ淋菌やクラミジアなどはオシッコを出す時に大半が洗い流されてしまいます。
しかし、尿道に感染する淋菌やクラミジアは雑菌のように膀胱まで達する必要はなく、途中の尿道の粘膜で感染を成立させることができます。
病原菌にとって、男性の細く長い尿道は感染のチャンスが非常に多いということなんですね。
つまりオシッコで流されるまでに感染を成立させたり、たとえオシッコで流されても、わずかに残った菌が次にオシッコをするまでの間に感染を成立させることができます。
尿道に精液やカウパー腺液などが停滞していたりするとより増殖しやすくなってしまいます(この状況は性行為の後、そのまま寝てしまったりするとよく起こります)。
一方、女性は尿道が太く短いのでこれらの菌の増殖の場があまりありません。
分泌液が尿道に溜まることもないので尿道炎はめったに起こらないのです。
女性で、これらの菌が膀胱に達すると膀胱炎を起こしそうなものなのですが、幸いこれらの性病の病原菌が膀胱で繁殖することはありません。
その代わりと言ってはおかしいですが、淋菌やクラミジアなどは膣で増殖して膣炎を起こし、放っておくと子宮内膜炎や骨盤腹膜炎へ進行します。
原因菌によって症状が異なる尿道炎
男性しかまず経験することのない尿道炎。
症状はオシッコをした時に痛みがでたり、膿で下着が汚れたりでわかりやすいのですが、原因菌によってその症状の程度や分泌物の性状などが異なります。
これらの症状を経験するとすぐに「性病にかかった!?」と焦るかもしれませんが、雑菌による尿道炎も案外多いのです。
このような症状が出た時は、まず、性病検査で性病なのか違うのかをまずはっきりさせましょう。
性病による尿道炎は以下の4つに分けられます。
- 淋菌性尿道炎(GU)
- 淋菌性尿道炎
- クラミジア性淋菌性尿道炎(クラミジアと淋菌の混合感染)
- 非淋菌性尿道炎(NGU)
- クラミジア性非淋菌性尿道炎(クラミジア感染)
- 非クラミジア性非淋菌性尿道炎(ウレアプラズマやマイコプラズマetc感染)
尿道炎は原因菌が違っても似たような症状を出したり、混合感染したりすることがあるので実際の経過や症状からはっきり区別できるとは限りません。
以下に、淋菌性尿道炎、クラミジア性尿道炎、非クラミジア性NGUのそれぞれの特徴を表にまとめてみました。
淋菌性 | クラミジア性 | 非クラミジア性非淋菌性 | |
---|---|---|---|
潜伏期間 | 3~7日 | 1~3週間 | 1~5週間 |
発症 | 急激 | 比較的緩徐 | 比較的緩徐 |
排尿痛 | 強い | 軽い | 軽い |
分泌物の性状 | 膿性 | 漿液性~粘液性 | 漿液性~粘液性 |
分泌物の量 | 中等量 | 少量~中等量 | 少量~中等量 |
この表のように淋菌性は他の原因菌よりも症状が激しく潜伏期間も短いので、性病による尿道炎は淋菌性と非淋菌性の大きく2つに分けて考えます。
原因菌によって治療が異なるので鑑別診断が重要
淋菌は強い症状を出すので臨床症状だけである程度仮診断することができますが、クラミジアと混合感染の有無は症状だけからは判断できません。
非淋菌性尿道炎(NGU)は症状が似ているので、検査なしに区別することはできません。
また、性病以外の尿道炎は起因菌によって症状がさまざまなので、症状だけでこれらとNGUと見分けることは難しいでしょう。
雑菌による尿道炎でも時に淋菌性尿道炎のような強い症状がみられることもあります。
尿道炎の治療は抗生剤を投与しますが、症状を引き起こしているのがどの病原菌なのかによって処方される抗生剤は違ってきます。
例えば淋菌治療に使用されるスペクチノマイシンやセフトリアキソンはクラミジアには無効ですし、反対にクラミジア治療に使われるアジスロマイシンは淋菌には必ずしも効きません。
無駄な投薬を避けるためにも原因菌をはっきりさせた上で治療していくことが重要なのです。
最近はネットで薬を個人輸入して自己流で治療される方が増えていますが、実際は非クラミジア性NGUなのにクラミジアを疑ってクラミジアとして治療されることが多くあります。
たいていの非クラミジア性NGUはクラミジア治療薬のマクロライド系やニューキノロン系で改善はしていきます。
しかし、一般に非クラミジア性NGUはクラミジアに比べて治りにくく、特に原因菌がマイコプラズマであった時にその傾向が顕著です。
クラミジアだと思って薬を飲んでいたのにどうも治りが悪い、なんて時は非クラミジア性NGUなのかもしれません。
なので後でクラミジアが治らないと焦らないように、最初にクラミジアか非クラミジアなのかを知っておくことは大切です。
性病検査を行って鑑別診断してから治療をしないと、いつまでたっても治らなかったり、治ったつもりでパートナーに感染を広げることになります。
自己判断で家に残っている抗生剤を飲んだりせずに、尿道炎かなと思ったらまず性病検査を受けるようにしましょう。
性病による尿道炎で注意すべきこと
尿道炎をきちんと治療するためには、原因菌をはっきりさせ、その結果に則って治療をしていく事が大事であることを上に述べました。
でも、それ以外にも性病による尿道炎を治療していく上で気をつけないといけないことがいくつかあります。
以下に、特に注意しておきたいポイント3つを上げました。
咽頭感染していないかも調べよう!
近年、性病は性器に起こるだけの病気でなく、口やのどへも感染するようになってきています。
特に尿道炎を起こす淋菌・クラミジアは咽頭感染することも珍しくありません。
性器クラミジア感染があれば咽頭感染は10~20%で存在するとされ、女性で性器に淋菌感染している例に至っては数十%で咽頭にも感染が起こっているといわれています。
しかも、咽頭感染は無症状のことも多いので、本人が性器への感染には気づいていても咽頭感染に気づいていないこともあります。
咽頭感染は性器への感染に比べて治りにくく、尿道炎の症状が治ったと安心していたら、咽頭感染が残っていてまたパートナーにうつしてしまったり、パートナーから再感染することもあります。
これらのことから淋菌・クラミジアの性器感染が判明した時は、咽頭への感染も起きていないか確認しておくことが大切なのです。
非クラミジア性非淋菌性尿道炎は咽頭感染することはありません。
治癒したのか確認することはとても大事
病気全般に言えることですが、治療を完治するまできちんと続けることはとても大事です。
不十分な治療で感染が残ってしまうと、他の人へ感染を広げてしまうことになります。
また、不十分な治療で生き残った病原菌は、投与されていた抗生剤に対して強くなってしまいます。
抗生剤に対する抵抗力が強くなってしまった菌のことを耐性菌といいます。
淋菌は特に耐性菌ができやすく、通常の淋病治療薬が効かない症例が増えています。
治療をする際にはきちんと続け、最後には病原菌がいなくなったことを性病検査で確認しましょう。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/rinbyouwraenai/”]いつまでたっても治らない!ピンポン感染に注意
尿道炎を起こす性病では治療していったん治っても、パートナーの女性がキャリア状態で、あらためてパートナーから再感染することがたびたび起こります。
これをピンポン感染と言います。
ピンポン感染は淋菌とクラミジアだけでなく、非クラミジア性非淋菌性尿道炎でも起こる可能性があるとされています。
性病による尿道炎になった時はパートナーも同時に治療を受けてピンポン感染しないようにしましょう。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/pingpong/”]性病による尿道炎を予防するには
尿道炎を起こす性病を予防するにはコンドームを使うことがとても有効です。
正しくコンドームを使用すればかなりの確率で感染を防ぐことができます。
ただし見落としがちなのがフェラチオによる感染。
咽頭からの感染があるのでコンドームの使用はオーラルセックスでも必要です。
特に男性の淋菌感染は風俗からの感染が半数以上を占めると言われていて、その原因はファッションヘルスでのフェラチオにあります。
尿道炎にならないためにも、性病は膣性交だけでなくオーラルセックスでも伝染ることを肝に銘じておきましょう。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/condom/”]自宅で尿道炎の原因を調べられる性病検査キット
尿道炎が雑菌によるものなのか淋菌やクラミジアなのか心配でしたら、気軽にできる性病検査キットがおすすめです。
「いくら気軽にできても、自宅でちゃんと検査できるのかな……」と、キットの精度に不安を持つ方もいるかもしれません。
でも大丈夫!その心配はありません。
当サイトでご紹介している性病検査キットはすべて登録衛生検査所というところで検査が行われます。
病院で検査を受ける場合でも性病検査を依頼するのはこの登録衛生検査所なのです。
つまり性病検査キットは病院の検査と同等の検査が受けられるということです。
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