アナルセックスは一般に普及したとは言えませんが、多様化した性行為の1つの形として徐々に広がっています。
もともとは男性同性愛者間での行為に限られていましたが、今はアダルトビデオの影響なのか異性間でもアナルセックスを行うカップルが増えてきているようです。
アナルセックスではペニスと直腸粘膜の接触であるため、膣性交とは性病感染の条件、種類、注意点などが少し違います。
ここでは、膣性交との違いやアナルから感染する各種性病についてまとめてみました。
目次
アナルセックスは膣性交以上に性病リスクが高い
どちらも粘膜と粘膜の接触でありながら、膣内と直腸内の環境の違いから、同じ性病でもアナルセックスのほうが感染しやすい傾向にあります。
それを象徴するのがHIV感染者の動向です。
以下は2015年のHIV感染者の内訳をグラフ化したものです。(静注による薬物使用と母子感染はそれぞれ0.2%と0.1%です)
参考データ厚生労働省エイズ動向委員会発表データ
このようにHIVでは男性間のアナルセックスによる感染者が他の感染経路より圧倒的に多いのです。
実数は異性カップルが圧倒的に多いのに、HIV感染者数は男性同士が多いのはそれだけ感染しやすいということ。
行為としては同じようなものなのに膣粘膜と直腸粘膜の違いでこれだけ感染リスクに差が出てしまいます。
異性間の性行為の中にはアナルセックスによるものもある程度含まれていますから、アナルセックスによる感染者はさらに多いということです。
またアナルセックスが性病感染リスクを高める要因の1つに、膣性交で感染する性病はたいていアナルセックスでも感染するのに加えて、アナルセックスでのみ感染する性病がいくつかあることが挙げられます。
直腸は膣に比べて傷つきやすい
アナルセックスが性病のリスクを高めてしまう原因の1つに、膣に比べて直腸の粘膜が傷つきやすいことがあります。
膣粘膜の表面は重層扁平上皮といって細胞が幾重にも重なってできている丈夫な上皮に覆われているのに対して、直腸粘膜は単層円柱上皮といって1層の細胞が覆っているに過ぎません。
何重にもなったバリアと1枚だけのバリアでは、何重にもなっている方が絶対強いですよね。
また膣は内腔を押し広げられてもそのサイズに合わせて無理なく伸びることができる適応力の高い臓器(その性質を可塑性といいます)。
その適応力のすごさは生まれてくる赤ちゃんが通過できることを考えれば容易に理解できますね。
一方の直腸にはそこまでの可塑性はありません。
これらのことは、行為中の激しい摩擦により直腸粘膜のほうがより傷つきやすいことを示しています。
そして粘膜に傷があるとあらゆる性病で感染リスクが高くなるのは言うまでもありません。
膣性交では感染しない性病がある
後で取り上げるA型肝炎、アメーバ赤痢はアナル経由でしか感染しない病気です。これらは糞便中に含まれる病原体が口に入ることで感染します。
どちらもペニスに直接感染するわけではありませんが、アナルセックスという行為の結果、感染リスクが大幅に上昇してしまいます。
アナルセックスで感染する性病と注意点
ここではアナルセックスで感染する性病をまとめて記載しています。疥癬のような接触のみで感染する病気は除外してあります。
性器クラミジア
最も多い性病であるクラミジアはアナルセックスにより直腸に感染をし、直腸炎を起こすことがあります。
肛門からの出血、痛みやしぶり(継続する便意)などの症状を出します。
挿入側が感染して、尿道炎や精巣上体炎を起こすこともあります。
クラミジアの直腸への感染を調べるためには直腸粘膜を擦過してサンプルを遺伝子検査する必要があります。
保健所などで行われる血液による抗体検査は、精度に問題があり役に立たないかもしれません。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/chlamydia/”]淋病
淋菌による直腸炎は痛みが強く、排便時やアナルセックスの時に強い痛みを引き起こします。
挿入側には一般の泌尿器症状が出ます。
検査のためにはクラミジア同様に肛門からの検体採取が必要です。
顕微鏡で直接確認するか、遺伝子検査を行います。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/neisseria/”]梅毒
肛門や直腸粘膜に硬性下疳(潰瘍の1種)を生じます。
硬性下疳は本来無痛なのですが、肛門や直腸は二次感染しやすく、感染により痛みが出てくることもあります。
また、病変が見えない位置にあるため発見が遅れ、多くの人にうつしてしまうことになります。
通常の梅毒検査(血液検査)で検査できますが、3~4週間経ってからでないと陽性になりません。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/syphilis/”]HIV感染症
HIVの侵入部位に潰瘍を生じ、直腸炎になってしまうことがあります。
しかし、HIVの場合は免疫の低下により他の性病にかかりやすくなってしまうことが問題ですね。
また、他の性病に感染しているとHIV感染リスクが非常に高くなってしまうことも問題となります。
もともとHIV感染率が最も高いアナルセックスですが、他の性病により粘膜に病変があると大幅にリスクが大きくなります。
サイトメガロウイルスという病原体がアナルセックスによって感染して直腸炎を起こすことがあります。
それゆえにサイトメガロウイルスは性病として分類されることがありますが、多くはエイズで免疫不全状態の時に起こります。
性病というよりはエイズ関連疾患と考えたほうがいいでしょう。
尖圭コンジローマ
上に述べてきた性病と違い直腸粘膜に病変を作ることはありませんが、肛門周囲や肛門の内部にイボを形成します。
見えにくい部分にできるので、知らずに感染を広げてしまいやすいです。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/papilloma/”]性器ヘルペス
水疱や潰瘍ができることで肛門に痒み、不快感、痛みなどを生じます。
淋菌同様に排便時やセックス時に強い痛みが出ます。
性器ヘルペスは完治せずに再発を繰り返します。
そしてその度に感染源となってしまいます。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/herpes/”]A型肝炎
便とともに排出されるウイルスによって感染します。
このウイルスが直接ペニスへ感染するわけではなく、ペニスを介して汚染された指や直接アナルを舐めたりすることで経口感染します。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/hepatitisa/”]B型肝炎
感染者の血液、唾液、体液などから容易に感染します。
急性肝炎患者は体調が悪いので、感染源となるのは感染しても発症しない無症状の人(感染者の約8割)か、キャリア(無症状のままウイルスを保有し続け感染源となる)の人からでしょう。
日本人の1%がB型肝炎ウイルス(HBV)キャリアだと言われていますが、HIV感染者だけでみると6~7%がキャリアとあきらかに多くなっています。
男性同性愛者に多いHIV感染者でHBVキャリア率が非常に高く、HBV感染者は圧倒的に男性が多くなっています。(2014年のHBV感染者報告数は女性43人に対し、男性は145人もいます。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/hepatitisb/”]C型肝炎
血液や時に精液に含まれたウイルスが直接、血流に入ることで感染します。
そのため健康な粘膜や皮膚から感染することはないと考えられています。
C型肝炎ウイルス感染者の大半は医療行為によるものですが、性行為によって感染することも少なくありません。
特にアナルセックスでは直腸粘膜が傷つきやすく、リスクが高いといえます。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/hepatitisc/”]アメーバ赤痢
便に含まれる赤痢アメーバ原虫を口にすることで感染が成立します。
A型肝炎と同じ感染経路で、アナルセックスが感染リスクを大きく高めます。
そのことは男性患者が大半を占めることが示しています。(2014年の報告された感染者は男性1,001人で女性133人です)
[blogcard url=”https://sticheckup.com/entamoeba/”]アナルセックスによる性病感染を防ぐには
ここまで述べてきたように、アナルセックスは膣性交以上に性病感染リスクの高いことが分かっていただけたと思います。
これらの性病は100%防ぐことは難しくても、ちょっとした対策でリスクをおさえることは可能です。
以下に、感染リスクを下げるためにできる対策についてまとめてみました。
コンドームの使用が性病予防の基本
膣性交やオーラルセックスにおいて性病予防の基本ともいえるコンドームは、アナルセックスにおいても最も有効です。
性的志向にかかわらず、コンドームの使用が常識になれば、性病の発生は大きく減少するでしょう。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/condom/”]直腸を傷つけないよう心がける
傷つきやすい直腸粘膜を保護するために、潤滑剤を使うのも良いでしょう。
ただし、ベビーオイルや油性のローションなどはコンドームを劣化させるので避けてください。
必ず水溶性かシリコン製の製品を使ってくださいね。
行為のあとに洗い流す
行為後にはそのまま眠ったりせずに、すぐにトイレに行って排尿しましょう。
尿道に入り込んだ病原体を洗い流すことで感染リスクを下げることができます。
さらに、シャワーで性器や肛門をきれいにすることで、接触により感染するタイプの性病や便から感染するタイプの性病をある程度防げるでしょう。
挿入される側の人も可能なら直腸を洗浄しましょう。
精液を洗い流すことで感染を阻止できるかもしれません。
ワクチン
A型肝炎とB型肝炎はワクチンがあるので、あらかじめワクチンを接種しておけば予防することができます。
ワクチン接種可能な医療機関をこちらの厚労省検疫所の予防接種実施機関検索で検索することができます。
定期的な性病検査をすればベスト
上に挙げた対策を行ったとしても、全ての性病を完全に予防することはできません。
それを補うためにも、定期的に性病検査を受けることをおすすめします。
性病は無症状のことも多く、本人が気づいていないことも珍しくありません。
安心してパートナーとの時間を過ごすためにも定期検査を考えてみてください。
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