デリケートゾーンのかゆみは女性にとっては切実な悩みです。
小林製薬の調査では、女性の2人に1人が最近1年間にデリケートゾーンのトラブルがあったと答えています。
デリケートゾーンのかゆみの多くは蒸れやかぶれによるものですが、中には性病を始めとする感染によるものもあります。
感染性では治療方法がまったく異なってきますので、最初にしっかりと見極める必要があります。
この記事では、デリケートゾーンのトラブルを起こす感染性・非感染性の原因やその特徴についてまとめました。
目次
原因別デリケートゾーンのかゆみ・かぶれ一覧
病名 | 痒みの強さ | 原因 | 特徴 |
---|---|---|---|
膣カンジダ症 | 強いかゆみ | カンジダ(カビ) | ヨーグルト状のおりものを伴うことが多い |
膣トリコモナス症 | 強いかゆみ | トリコモナス原虫(寄生虫) | 悪臭を伴ったおりもの |
性器ヘルペス | 痛痒い | ヘルペスウイルス | 水疱・潰瘍を伴う |
毛じらみ | 強いかゆみ | ケジラミ(寄生虫) | 肉眼でも見ることができる |
疥癬 | 非常に強いかゆみ | ヒゼンダニ(寄生虫) | もっともかゆい |
尖圭コンジローマ | むずがゆい | HPV+二次感染 | 特徴的なイボ |
毛のう炎 | むずがゆい | 黄色ブドウ球菌 | 陰毛の根元が腫れる |
バルトリン腺炎 | 軽いかゆみ | ・ブドウ球菌 ・レンサ球菌 ・大腸菌など |
左右の大陰唇が腫れる |
非感染性外陰部そう痒症 | むずがゆい | ・化学物質(おりもの・経血など) ・物理刺激(ナプキン・下着など) ・アレルゲン(コンドーム・精子など) |
蒸れ・かぶれを起こすなんらかの原因物質がある |
性病によるデリケートゾーンのトラブル
デリケートゾーンのかゆみやかぶれで最も注意しないといけないのは性病によるものです。
自然に治ることはありませんので、性病検査をしてきちんと治療しなければなりません。
膣カンジダ
カビの1種で起こる性病で、急性の症状が出てきた時はまず疑わないといけません。
女性は症状がなくてもカンジダを保菌していることが多く、性行為よりも日和見感染で症状が出てくることのほうが多いといわれています。
外陰部に強いかゆみや腫れ、灼熱感などがあらわれます。
おりものの異常もみられ、酒粕様やヨーグルト様の多量のおりものが出てきます。
初発の場合はきちんと検査を受けてカンジダかどうかを診断してもらいましょう。
治療は病院で膣洗浄をしてもらい膣錠を挿入します。
外陰部の炎症には塗り薬をもちいます。
再発性の膣カンジダは自分で市販薬で治療することが可能です。
初発の場合は、本当にカンジダを持っているのかはっきりしていないので、市販薬で勝手に治療しないようにしましょう。
再発でも何度も繰り返すなら治療方法を考えなければならないので、病院へ行くことを検討しましょう。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/candida/#saihatucandida”] [blogcard url=”https://sticheckup.com/candida/”]膣トリコモナス症
性病によるデリケートゾーンのかゆみの原因としては、カンジダについで多のがトリコモナスです。
膣トリコモナス症はトリコモナス原虫という寄生虫の1種よって起こる性病です。
寄生虫と言っても肉眼では見えない非常に小さなものです。
感染すると外陰部に強いかゆみや灼熱感があらわれます。
おりものにも異常がみられ、悪臭をともなった黄白色の多量のおりものが出てきます。
症状からは診断をつけることはできないので性病検査が必要です。
膣トリコモナス症の治療はニトロイミダゾール系の抗菌薬を内服することで行います。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/trichomonas/”]性器ヘルペス
口などにできるヘルペスと同じウイルスによって起こる性病です。
体中のほとんどの場所に感染するので、感染経路は性行為に限りません。
なので、セックスをしていないのに感染してしまったということがありえる性病です。
外陰部にヘルペスが感染しても無症状のことも多いのですが、発症するとかゆみの他、強い痛みや水疱、潰瘍などができる特徴があります。
診断は特徴的な病変や性病検査によって行います。
性器ヘルペスの治療にはアシクロビルなどの抗ウイルス薬を内服します。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/herpes/”]毛じらみ
吸血性昆虫のケジラミが陰毛に寄生することで起こる性病です。
ケジラミが吸血する時に強いかゆみが生じます。
かゆみには個人差があって、ほとんどかゆくない人もいます。
成虫や陰毛の根元に産み付けられた卵は虫眼鏡を使って見ることができるので、自分で確認することができます。
治療は薬局で売っているスミスリンシャンプーかスミスリンパウダーで行います。
治りが悪い場合やスミスリンでかぶれる場合は病院へ行きましょう。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/pthirus/”]疥癬
ヒゼンダニという虫が人の皮膚に寄生することで起こる性病です。
頭部以外の体中どこにでも感染するので、接触があれば性行為以外でも感染します。
症状は外陰部に水疱や丘疹をつくり、とてもかゆみが強いのが特徴です。
診断は皮膚から取った検体を顕微鏡で調べるので、病院へ行って検査を受ける必要があります。
治療にはイベルメクチンの内服や硫黄剤・クロタミトンなどの外用薬を用います。
クロタミトンはオイラックスのことですが市販薬は他の成分が含まれています。
外用治療では首から下の全身に塗る必要があるので、市販のオイラックスは不向きです。
処方薬のオイラックスはクロタミトンだけが入っているので病院で処方してもらいましょう。
尖圭コンジローマ
尖圭コンジローマはヒトパピローマウイルス(HPV)の感染によって起こる性病です。
一般には性器やその周囲にイボ状の特徴的なできものをつくる性病として知られています。
このイボ自体は痛くもかゆくもありませんが、二次感染を起こすとかゆみが出る場合があります。
診断は特徴的なイボで判断できますが、肉眼的に病変がない場合や膣内にできている場合には検査が必要です。
治療はイミキモドの外用薬を塗ります。大きいものでは外科治療で取り除きます。
尖圭コンジローマは再発が多く、病院で治癒のチェックをしてもらうことが大切です。
自分で治療薬を個人輸入して自己治療するのはおすすめできません。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/papilloma/”]性病以外の感染症によるデリケートゾーンのトラブル
感染によるデリケートゾーンのトラブルには性病以外に原因がある場合もあります。
毛のう炎
毛根部分に黄色ブドウ球菌が感染して起こります。
毛のあるところはどこでも起こる可能性があります。
外陰部はおりものや経血、汗などで蒸れやすく、皮膚もデリケートなため、毛のう炎の起こりやすい場所です。
軽い症状のものは自然に治ることもありますが、炎症が強かったり長期間続く場合は治療が必要です。
抗生剤の軟膏を塗ったり、内服薬で治療します。
ひどくなってしまった場合は、切開して排膿させる処置が必要なことがあります。
バルトリン腺炎
バルトリン腺はセックスの時に潤滑油のはたらきをする粘液を出す器官です。
膣の入り口の左右にあるため雑菌が入りやすく、感染すると炎症で腫れたり、膿がたまるバルトリン腺膿瘍になったりします。
ブドウ球菌、レンサ球菌、大腸菌などで起こるほか、淋菌やクラミジアで起こることもあります。
バルトリン腺炎が起こると軽いかゆみや灼熱感があり、膿がたまってくると痛みが強く、時には歩けなくなったりもします。
治療には感受性テストで効果のある抗生剤を特定して使用します。
膿がたまっている場合は切開して膿を出す外科的な処置が必要になります。
感染症ではないデリケートゾーンのトラブル
デリケートゾーンのかゆみやかぶれなどのトラブルには、感染をともなわないで起こるものが非常に多くあります。
原因はさまざまな刺激物によって接触性皮膚炎が起こるケースがほとんどだそうです。
皮膚炎・湿疹が生じて、かゆみやかぶれや熱感などの症状がみられます。
刺激物となるものには化学的なものから、物理的に刺激になるもの、アレルゲンになるものなど非常に多くの種類があります。
以下に、刺激物となる代表的なものをご紹介します。
- 汗
- 経血
- おりもの
- 石鹸
- 医薬品
- 殺精子剤
- 脱毛クリーム
- ナプキン
- タンポンのひも
- 尿漏れパッド
- 下着
- 毛剃り
- トイレットペーパー
- コンドーム
- 精子
治療はまず刺激となっているものを避けることが基本。
今ある症状に対しては、軽いものでは保湿剤(ヒルドイド(ヘパリン類似物質)、白色ワセリン)や非ステロイド性抗炎症外用薬を塗ります。
症状が強い場合は、ステロイド外用薬を塗ることも。
長期に渡って症状がよくならない難治性のものでは、腫瘍の可能性もあるので病院へ行きましょう。
デリケートゾーンのトラブルを予防するには
定期的に性病検査を受ける
デリケートゾーンのトラブルを起こす感染、特に性病に関しては性行為をしないことがもっとも効果的ですが、ちょっと現実的ではありませんね。
その代わり、できるだけ早く見つけるために、定期的に性病検査を受けて感染していないかを確かめることが大切です。
性病検査できないものについても、疑われるような行為をした時には何か症状が出ていないか目を光らせるようにしましょう。
デリケートゾーンを清潔に保つ
性病以外の感染によるトラブルと接触性皮膚炎によるトラブルは、デリケートゾーンを清潔に保つことで予防することができます。
ただし、清潔にするために石けんでゴシゴシ洗ったりするのはかえって接触性皮膚炎の原因になります。
刺激のない成分の石けんでやさしく洗うようにしましょう。
経血やおりもので汚れやすい時期は、膣洗浄をするのも効果があります。
まとめ
デリケートゾーンのかゆみには、ただの蒸れだけで起こるものばかりではありません。
感染性のものではきちんと治療しないと、ドンドンひどくなったり、切らなくてはいけなくなったりします。
まずはしっかりと見極めて適切な治療を心がけましょう。
治ったら、今度は再発しないように予防に取り組むのも大切です。
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