たくさんある性病の中には、クラミジア・淋病・尖圭コンジローマのように感染しやすいものがある一方、HIVのように感染しにくいものもあります。
しかし、単独では感染しにくいHIVも先に他の性病にかかっていると、途端に、感染率が大幅にアップしてしまいます。
つまり、性病に感染している状態でセックスを繰り返すのは非常に危険なことなんです。
特にクラミジアのように無症状のことが多い性病では、本人も気づかないままさらに他の性病に感染するリスクを冒すことになります。
この記事では、性病にかかっていると他の性病にかかりやすくなる理由と、併発しやすい性病について解説しています。
あなたとパートナーの健康を守るために役立てればさいわいです。
目次
混合感染に注意!1つの性病だけとは限らない
ネットが普及した現在では、何かわからないことがあっても検索することですぐに調べることが出来ますよね。
性病に関しても、ちょっと検索すればあっという間に知りたいことにたどり着けます。
実際にそうして当サイトにたどり着いた方もいるでしょう。
例えば、ある日おりものが多く出ているのに気づいたとします。
性病かな?と心配になってたいていの人がネットで調べてみるでしょう。
そしたらクラミジアの情報が出てきて、自分の状況と同じなのを知ったとします。
この場合、多くの人が自分はクラミジアかもしれないと、病院へ行くか性病検査キットを使って調べてみると思います。
病院へ行った場合は同時感染の多い淋菌の検査もするでしょうが、自分で検査項目を判断する性病検査キットではクラミジアだけを検査してしまいがちです。
さらにHIV感染など他の性病に関しては保険外診療になるので、病院でも本人が希望しないかぎり検査をしないのが普通です。
でも、性病は淋菌・クラミジアに限らず同時感染していることは珍しくないのです。
性病の症状というのは一般に言われているような症状が必ず出るとは限りません。
よく知られている症状というのはあくまでも典型的症状であって、症状の現れ方には個人差があります。
なので、症状がピッタリ一致するからといって、1つの性病にかかったと安易に判断しない方がいいのです。
他の性病にも感染しているかもしれませんからね。
かかっているのが1つの性病だけだと思い込んでいると、治療が遅れて病気が進行したり、他の人へ病気を感染させてしまうかもしれませんよ。
女性のクラミジアでも無症状の人からおりものがたくさん出る人まで様々です。
男性の淋病でも必ず強い排尿痛や膿が出るわけではなく、症状がとても軽い人もいます。
病原体から体を守る粘膜
主な性病感染の舞台となる粘膜。
多くの性病は粘膜と粘膜の触れ合う部分で感染します。
膣性交で触れ合う膣は粘膜に覆われていることはご存知だと思いますが、実は男性側ペニスの亀頭部分も粘膜なのです(亀頭から続いている尿道も当然粘膜です)。
だからオーラルセックスの口とペニスも、アナルセックスの直腸とペニスも粘膜同士が触れ合っているのです。
みなさん粘膜というとなんとなくどういうものか理解していても、どういう働きをしているのか理解している人は少ないと思います。
今、試しに身近に調べられる口の粘膜で考えてみてください。
表面が湿っていて非常に柔らかく、上皮がとても薄く簡単に傷つきやすく出血もしやすい。
それなのにまず化膿することはないし、腫れにくいです(歯ぐきは別です)。
そして案外丈夫なところもあって熱いものには皮膚よりも強かったりします。
ちょっと不思議な体組織である粘膜。
ここでは粘膜について生体防御(免疫)に絞って見てみましょう。
こむずかしいことは飛ばしたい人はこちらへ。
粘膜の防御機能
見た目は脆(もろ)そうな粘膜ですが、いくつかの生体防御機能によって外からの細菌・ウイルスなどの侵入を防いでくれています。
以下に粘膜の持つ主な生体防御機能を挙げてみました。
粘液の分泌
粘膜といえば表面が湿っていてヌルヌルテカテカしているイメージがあると思います。
これはたいていの粘膜には分泌腺を備えていて、表面が分泌された粘液で覆われているからです。
この粘液が粘膜の表面に層を作ることで物理的に微生物の侵入を防いでいます。
また粘液にはIgAという抗体の一種が含まれていて、免疫反応によって病原体をやっつけてもくれます。
他にインターフェロンや補体という免疫を担う物質が働くこともあります。
さらに、おりもののように病原体を粘液ごと排出することで除去する作用もあります。
血管系の発達
生物の体は粘膜のような感覚器の発達した部分、つまり敏感な部分は血液循環が他の部分よりも豊富です。
敏感であることは神経が発達しているということ。
神経が発達している部分は血管も発達しているのです。
血液循環が豊富なことで、病原体がやってきても免疫細胞がすぐに駆けつけることができるので、粘膜は意外に感染に強いのです。
また外からの微生物の侵入を受けやすい粘膜のそばにはリンパ組織が発達していて(口腔内なら扁桃腺や顎下リンパ節など、性器なら鼠径リンパ節)病原体の侵入を二重に守っています。
常在細菌の存在
粘膜のある部分は、口にしても腸にしても、あるいは性器にしても、無菌状態ではありません。
いくつかの細菌が一定のバランスで存在しています。
これを常在細菌叢と言います。
常在細菌が存在することで外から入ってきた雑菌が増殖するのを抑制する効果があります。
膣内で見られるデーデルライン桿菌(乳酸桿菌)はその代表的なものです。
構造としてはそれほど強くない粘膜ですが、ここに挙げた作用によって病原体への感染を防いでいるのです。
感染者と性行為をしたからといって100%伝染るわけではない
性病に関して誤解している方が多いと思いますが、感染者と性行為をしてしまったら必ず伝染ってしまうわけではないこと。
上で説明しましたように、粘膜自体に感染を防ぐ作用があるので、病原菌が粘膜に触れたからといって感染が成立するとは限らないのです。
感染力が高いと言われる淋菌でも1回の膣性交で感染する確率は30%とされています。
男性→女性の感染に限れば尖圭コンジローマは60%の確率で感染します。
感染力の弱いHIV(エイズウイルス)では、危険と言われるアナルセックスで1.4%、膣性交では0.1%の感染確率というデータが出ています。(この確率は挿入される側の感染確率です。挿入する側の確率はもっと低くなります)(→HIV感染率について)
粘膜にダメージがあれば感染率がグッと上がる
健康な粘膜だと本来の防御機能で性病への感染を免れることも多いのですが、粘膜に異常があると話は違ってきます。
炎症によってただれや潰瘍などがあると、粘膜の持つ防御機能を十分に発揮することができなくなります。
それどころか炎症によって出てくる分泌物は病原菌にとって格好の増殖する場所になってしまうのです。
その結果、性病への感染率が一気に上がってしまいます。
同時感染しやすい性病
粘膜に異常があると感染する確率が上がってしまう性病ですが、では、性器の粘膜に異常を起こす原因ってなんでしょう?
わかりますよね?
そう、性器の粘膜に病変を作るといえば、やはり性病が多いのです。
つまり他の性病にすでにかかってしまっていると、別の性病に簡単に感染してしまうということです。
このことから、ある性病(特に粘膜に病変を作る性病)への感染が疑われる、あるいは判明した時は、他の性病への感染も疑ったほうがいいということなのです。
ここでは性病の同時感染で特に気をつけないといけないポイントを2つ取り上げました。
淋菌とクラミジアはセットで注意
淋病と性器クラミジアは感染ルートも感染部位も同じことから、合併して感染していることが非常に多い性病です。
淋菌性尿道炎(GU)が認められたら20~30%の確率でクラミジアも感染しているといわれます。
これらの感染が疑われる時は必ず両方検査しましょう。
あるいは一方の感染が判明した時は、他方を確認することはマストになります。
またこれらは咽頭感染も多いので、同時に咽頭の検査もするのがベストです。
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医療の発達した先進国では治療薬の開発が進んだエイズは、もはや死の病気ではなくなったのかもしれません。
しかし、いまだに完治させることはできない病気で、治療薬は一生飲み続けなければなりません。
それゆえ現在でももっとも恐ろしく重大な性病であることに変わりはありません。
先ほど書いたようにHIVは感染力が弱く、感染者と性行為をしても伝染ってしまう確率は高くありません。
ところが他の性病に感染していると、HIVの感染確率は大幅に上がってしまいます。
HIVは淋病・クラミジアに限らず、尖圭コンジローマや梅毒など多くの性病との合併が問題視されています。
また、先にHIV感染があっても、他の性病にかかりやすくなったり、他の性病がなかなか治りにくかったり、ということも起こります。
新規のHIV感染者は先進国ではすでに減少傾向にあるのに対し、唯一、日本は増加傾向にあります(この数年落ち着いてきましたが、それでもやっと横ばいです。(ちなみに2015年度の新規患者は1,006人)
日本ではまだまだ収束したといえる状況ではないので現在でも注意が必要です。
性器に潰瘍病変がある場合には、HIVの感染リスクは2.5倍にまで増加すると言われています。
どの性病か絞らずに広く検査しよう
これまで述べてきましたように、性病は必ずしも1つの種類だけにかかっているとは限りません。
ある種の性病にかかってしまっていたら、ほかの性病にかかるリスクが高くなってしまいます。
その結果、性病は合併して感染していることが珍しくないのが現実なのです。
症状だけから性病の種類に目星をつけて単独の検査で済ませていると、たとえその性病は陰性の結果が出ても、実は他の性病にかかっていたということも十分にありえます。
実際に、婦人科のスクリーニング検査においては性器クラミジア、淋菌感染症、梅毒、HIV感染症の4つをマストとし、リスクが有るのならクラミジア・淋菌の咽頭感染をプラス。
さらに患者の希望があればトリコモナス(おりもの)、クラミジア抗体・B型肝炎抗体・C型肝炎抗体(いずれも血液)の検査を追加するというガイドラインがでています。
心から安心するためにも、自分が性病にかかっていないか心配な時は、なるべく種類を限定せずに広く検査することをおすすめします。
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