眼球

いくつかの性病では眼にも症状が出ることを、ほとんどの人が知らないのではないでしょうか?

唯一、昔流行ったトラコーマという伝染性の結膜炎が、性器クラミジアと病原体が同じであることを多少知られているくらいでしょう。

しかし、クラミジア以外にも眼に症状を出す性病はいろいろとあるんですよ。

そのことを知らないと、自分に症状がでた時に性病を疑えず診断が遅れることになるかもしれません。

眼症状はそれほど頻度が高いものではないですが、知っているのと知らないのとではその後の判断に大きな違いが生まれます。

この記事では、目の症状ごとにそれを引き起こす性病の種類をまとめてみました。

光を失わないために、知識として知っておいてください。

いろいろな性病が眼にさまざまな症状を起こす

眼

この記事に取り上げた眼に症状を引き起こす性病は全部で8種類にも上ります。

見た目は同じ症状でも原因となる性病はいくつもあったり、独特の症状を起こす性病があったりします。

また、1つの性病が多様な症状を出すこともあります。

なので、この症状の時はこの性病であると単純に判断することはできません。

いくつかの性病の可能性がある時にはやはり性病検査を行わないと判断は難しいでしょう。

ここでは眼の部位ごとに症状を分けて、その原因としてなりうる性病をまとめてみました。

結膜炎など眼球表面の症状を起こす性病

性病による結膜炎

眼球の表面である、角膜や結膜は目をこすったりする時に傷つけてしまうことが多く、性病の病原体にとっても格好の感染場所になってしまうことがあります。

性器との接触はなくても手を介して容易に感染が成立するために、性病による眼症状がもっとも出やすい場所です。

クラミジアで見られる眼症状

昔、流行ったトラコーマでは重度の結膜炎を起こし、ひどい場合には失明に至ることもありました。

しかし、性器クラミジアは同じ病原体のChlamydia trachomatisであっても血清型が異なり、そこまでのひどい症状を起こす事はありません。

そこでトラコーマと区別するために封入体結膜炎と呼ばれたりします。

さらに、感染者の分泌物が手や指についたまま眼をこすることで起こる成人型封入体結膜炎と、クラミジア感染者の母親から出産時に新生児が感染する新生児封入体結膜炎に分けられます。

症状は結膜が充血したり、まぶたが腫れたり、膿のような目やにが出てきます。

新生児のクラミジア感染では30~50%の高率でクラミジア肺炎が併発します。

性器クラミジアは飲み薬を1回飲むだけで治すことができますが、結膜炎では抗生剤の点眼を頻回かつ長期に続ける必要があります。

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淋菌で見られる眼症状

クラミジアと同様に、成人で手指を介した感染によるものと母体から新生児への感染によるものがあります。

淋菌は結膜でもクラミジアより激しい炎症反応を起こすため、成人と新生児ともに激しい結膜炎症状が見られます。

激しいな結膜の充血やまぶたの腫れがみられ、クリーム様の膿状の目やにが大量に出ます。

時に偽膜(粘膜にできるかさぶたのような被膜)ができることもあります。

さらに治療が遅れると角膜上皮にびらんが起こり、角膜穿孔から失明に至ることも。

現在、淋菌の抗生剤への耐性が問題になっていて、治療に苦労するケースがあります。

そのため淋菌による結膜炎では点眼(1時間毎)だけでなく、抗生剤の服用による全身療法も必須になります。

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梅毒で見られる眼症状

梅毒の第1期の症状は病原体の侵入部位にできる硬性下疳なので、眼への症状はないのですが、第2期以降に全身症状が出てくるのに伴って眼に症状が出てくることがあります。

症状の多くは眼球内部に起こりますが、結膜炎や角膜炎など眼球の表面にも認められることがあります。

先天梅毒では8割の症例に角膜ぶどう膜炎が起こると言われています。

梅毒の症状について詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

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ヘルペスウイルスで見られる眼症状

単純ヘルペスの1型(HSV-1)と2型(HSV-2)ともに角膜炎や結膜炎を起こします。

手指による成人の発症と産道感染による新生児の発症の両方が見られます。

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伝染性軟属腫で見られる眼症状

伝染性軟属腫はほとんど知られていませんが、海外へ行ってまれに感染することのある性病です。

HIVに感染して免疫が低下していると、伝染性軟属腫で性器の皮膚だけでなく結膜や角膜に結節状の病変を生じることがあります。

まぶたの縁に皮疹ができた場合に、物理的な刺激によって角膜に障害を起こすこともあります。

また、ウイルスに対する免疫反応によって結膜炎が起こることもあります。

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眼球内部に症状を出す性病

眼球の解剖図

性病の病原体によっては眼球内部に侵入したり、全身への感染拡大にともなって眼にも達したり、免疫の低下によって別の原因で眼症状が見られることがあります。

梅毒で見られる眼症状

梅毒による眼症状は多彩で、先に述べた結膜炎、角膜炎以外に強膜炎、虹彩毛様体炎(虹彩バラ疹など)、網膜炎、視神経炎などが起こります。

治療はアンピシリンやアモキシシリンなどの抗生剤を全身投与して梅毒を根こそぎやっつけることが第一です。

毛様体虹彩炎に対しては、散瞳薬やステロイドの点眼を併用します。

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HIV感染で見られる眼症状

HIVの感染による直接的な障害が出る可能性のほか、免疫の低下による日和見感染が起こって眼症状が出ることもあります。

HIV網膜症

HIV網膜症はHIVの合併症としてもっとも多い眼症状です。

網膜に綿花様の白斑や点状出血が生じます。

視力まで影響することはまずありません。

HIV感染が進み、CD4値が低くなってくると起こりやすくなります。

サイトメガロウイルス網膜炎

HIVの日和見感染でよく起こる眼症状です。

網膜に黄白色滲出、浮腫、出血などが起こります。

感染部には時に網膜剥離を生じます。

治療は抗ウイルス薬の全身投与や硝子体内投与が行われますが、免疫抑制状態が改善されないと再発を防ぐことは困難です。

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ヘルペスウイルスで見られる眼症状

眼の表面への感染にとどまれば角膜炎や結膜炎が起こるに過ぎませんが、眼内にヘルペスウイルスが感染すると重篤化して急性網膜壊死が起こります。

この疾患は治療することが極めて困難で、早い進行の後に多くは失明に至ります。

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成人型T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)で見られる眼症状

性病の1つとされるHTLV-1感染によって眼球内の硝子体に混濁を生じたり、網膜血管炎を起こすことがあります。

治療は局所へのステロイド剤投与がよく効きます。

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その他の眼症状を起こす性病

眼球そのものではなく、眼の付属器官に病変を生じるタイプの性病もあります。

伝染性軟属腫で見られる眼症状

通常、性器周辺、大腿内側や肛門周囲に多発する伝染性軟属腫ですが、エイズ患者では顔面や首に発生しやすく眼瞼にできることもあります。またエイズ患者では巨大化しやすいことが知られています。

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毛じらみで見られる眼症状

陰毛に感染する毛じらみは、時に、眉毛やまつ毛にも寄生することがあります。

眼にスミスリンは安全ではないので、治療は虫体と卵を目視で除去することにより行います。

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眼の症状は早めに医療機関を受診しましょう

命に関わる性病で入院するイメージ

これまで書いてきたように、性病による眼症状と言ってもさまざまなタイプや程度があります。

スタンダードな性病症状が出ていて眼症状が併発している場合、通常の性病治療で眼症状も一緒に治ってしまうものもありますが、そうでないものもあります。

デリケートな構造をしている眼球は、一度障害を受けるとなかなか元通りに治らなかったり、失明へとつながってしまったりすることが多いもの。

「大丈夫かな?」という甘い判断が後で取り返しのつかないことになるかもしれません。

また、性病に感染しても性器に症状の出ない無症状例で眼症状だけが出ている場合は、眼科へ行っても本人からの性病の可能性を申告しないと、性病感染が見落とされることがあるかもしれません。

性病に感染する機会が大いにあって眼の異変に気づいたなら、迷わず病院へ行って正直に説明することをおすすめします。

知りたい性病をチェック!

性器クラミジア
淋病
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膣トリコモナス症
梅毒
HIV感染症
尖圭コンジローマ
性器ヘルペス
急性A型肝炎
急性B型肝炎
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赤痢アメーバ症
毛じらみ
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非クラミジア性NGU
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性器伝染性軟属腫
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鼠径部肉芽腫
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