最近は、性に対して奥手であった日本人もすっかりオープンになってきました。
もちろん人にもよりますし世代間のギャップはありますが、若い人にとっては不特定の人とセックスすることは特別なことではなくなってきています。
このような性に対する意識の変化は、いまだに性病がまん延している事実や一部の性病では増加傾向にあるという事実と無関係ではないでしょう。
若い人たちにかたよって性病が非常に多く発生していることがそのことを示しています。
だからと言ってそのような開放的な人たちは、性病のことを知らないわけでも性病にかかる心配がないと考えているわけでもないはず。
きっとそういう人達は
コンドーム無しでしちゃったけど、ヤバイかな…。まあ、かかったら病院行って治せばいいか
と治療すればいいと軽く考えていたり、あるいは
避妊しなかったけど妊娠しないか心配…
という具合に、妊娠のほうが気になって、性病に対する心配がどこかに行ってしまっているのではないでしょうか?
しかし油断してはいけません。性病の中には完治するまで時間ががかかったり再発が多かったりして治療に苦労するものや、一度かかってしまうと治すことができないものがあるのです。
この記事では、
- 治らない or 治りにくい性病にはどんなものがあるか?
- 防ぐためのポイント
- 万一かかってしまったらどうすればいいか?
について詳しく解説しています。
目次
治りにくい性病と一度かかると治らない性病まとめ
性病治療が長引く原因には、
- 病原体が治療に抵抗性がある場合
- 病原体をなかなか除去できない場合
- 特徴的な感染ルートから再発しやすい場合
があります。
治らない性病はすべてウイルス性のもので、キャリア状態となってしまうと治すことができなくなります。
今もっとも脅威なのが淋病(淋菌感染症)
治療に抵抗性のある性病の代表格です。
淋菌は非常に耐性菌ができやすく、今や難治性性病と言っていいでしょう。
2013年に発表されたCDC(米疾病対策センター)が挙げる「最も脅威である細菌」3つのうちの1つに指名されています。
別名”スーパー淋菌”とも言われ、年々効果のある抗生剤に対して耐性を獲得し、1~2年前まで、治療薬とされていた抗生剤がどんどん効かなくなってきています。
2016年8月30日にWHOは耐性菌により効かなくなったとして、ニューキノロン系抗生剤を淋病治療のガイドラインから外してしまいました。
いずれ治らない性病に格上げされるのは遠い話ではないでしょう。
トリコモナスも同じように治療への抵抗性が問題となっています。
特定のパートナーがいると再発の原因となるピンポン感染
当サイトの記事でも何度も取り上げているピンポン感染。
あなたに特定のパートナーがいるのでしたら、治療しても何度でも性病を再発してしまう可能性があります。
ピンポン感染とは性病を発症した人に特定のパートナーがいると、そのパートナーも感染している(しかも無症状)ために本人が治療しても再感染して再発を繰り返すことを言います。
ピンポン感染するのは先に述べた淋病をはじめ、性器クラミジア、トリコモナス、非クラミジア性非淋菌性尿道炎です。
ピンポン感染を防ぐためにはこれらの性病にかかった時はパートナーも同時に治療しないといけません。
イボを作る性病は病原体をなかなか除去できない
イボを作る性病には尖圭コンジローマと伝染性軟属腫があります。
どちらもウイルス性によっておこる性病で、
- 健康な人でも検出されたり(尖圭コンジローマ)、不顕性感染が多い(伝染性軟属腫)
- 一度かかっても免疫が得られない
- 治療は病変部に対する局所治療(外科処置、薬物塗布など)なので、病変がない部分にウイルスがいると対処できない
という特徴があるので再発が多く、完治を確認できるまで時間を要します。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/papilloma/”] [blogcard url=”https://sticheckup.com/poxvirus/”]治らない性病といえばHIV
1980年代前半に突如現れたHIV感染症は、”死の病”エイズを引き起こす恐ろしい性病として世界を恐怖に陥れました。
当初は、感染してしまうと死を免れないとされていたHIVも、医学の進歩によりエイズ発症を抑えることができるようになり、もはや死ぬ病気ではなくなってきました。
しかし、いまだに治療薬はなく、一度感染してしまうと完治は望めません。
- HIVに感染すると、免疫システムの中で司令塔のような役割を果たすCD4陽性T細胞というリンパ球の一種が感染を受けます。
- CD4陽性T細胞はウイルスによってどんどん破壊されてしまいますが、減った分が次から次へと補われていきますので数年以上に渡り症状を出しません(無症状期)。
- しかし、徐々に補充が追いつかなくなり、CD4陽性T細胞がある程度まで減少してしまうといろいろな免疫不全の症状を現してきます(エイズ期)。
エイズ発症を抑えるためには一生薬を飲み続けなくてはならず、今でも重大な感染症であることには変わりがありません。
HIVにかかっても、パートナーの理解のもと、セーファーセックスを心がければセックスをすることは可能です。(→セーファーセックスと感染率)
肝炎ウイルスもキャリア化すると治らない
肝炎ウイルスにはA型、B型、C型、D型、E型がありますが、ここで問題となるのはB型肝炎とC型肝炎です。
どちらもキャリア化してしまうと完治は難しくなります。
C型肝炎は治療薬の開発が進み、上手くウイルスを除去することができる可能性もあります。
B型肝炎
B型肝炎は急性期には急性肝炎の症状を出しますが、症状が出ないまま治癒することも多いと言われています。
性感染の上で問題となるのは、慢性化したキャリア状態の人からの感染です。
以前は大人はキャリア化しないと言われていましたが、それまでのB型肝炎ウイルスと違うキャリア化しやすい欧米型ジェノタイプ Aと呼ばれる型が増加しています。
慢性化してしまうと特に症状もないし見た目にはわからないので、性交渉を中心に感染が広がっています。
B型肝炎ウイルスの血液・体液からの感染力は強く、触れるだけで感染する恐れがあります。
C型肝炎
C型肝炎もキャリアの人が多い肝炎として有名です。
もともとは昔の医療行為により感染した人がほとんどでしたが、現在は医学の進歩で医療行為で感染する人はほとんどなくなりました。
近年は、若い人たちの覚せい剤や刺青の針の使い回し、自分で開けるピアス穴の感染などに加えて、セックスによって感染する人の割合が増えています。
C型肝炎ウイルスはB型ほど感染力は強くありませんが、傷口などに直接キャリアの血液が触れることで感染します。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/hepatitisc/”]治らない性病を防ぐための重要ポイント
かかってしまうと治りにくい、あるいは治らない病気なら、予防することが何よりも大事なことは言うまでもありません。
防ぐことが難しい病気なら別ですが、性病はセックスという行為があってこそ感染が成立するもの。
心構え次第で伝染る可能性を大きく下げることは可能なのです。
事前に性病検査をしていれば安心してセックスできる
治らない性病のHIV感染症もウイルス性肝炎も、キャリアの人を外から見分けることは不可能です(他の性病の無症状例にも共通します)。
感染しているのかしていないのかを判断するには、血液によるウイルス検査を行うしかありません。
特に、B型肝炎とC型肝炎では上に述べたように、性行為がなくても感染するルートはいくつも考えられます。
日本にはB型肝炎で100万人以上、C型肝炎も100~150万人のキャリアがいると言われています。
”知らない間に感染していた”なんてことは人ごとではありません。
いつ誰が感染してキャリア状態になっていてもおかしくないのです。
自分とパートナーの健康と将来のために、ウイルス検査を受けることが何よりも重要です。
コンドームを使えばリスクを大幅に減らせる
性病検査でパートナー同士がお互いにクリーンであることが分かっても、その後どちらかが感染してしまえば簡単に相手にうつしていしまいます。
あなたが不特定の人とセックスしているなら、運悪く別の人から性病をうつされてパートナーに感染させてしまうかもしれません。
あるいは肝炎ウイルスを性交渉以外のルートで二人の間に持ち込んでしまうかもしれません。
このような可能性のあるカップルなら、性病検査だけでは不十分です。
リスクがある度に検査をできればいいですが、頻度が多く短期に何度も検査を繰り返す必要があるのなら現実的ではありません。
検査と検査の間の期間、感染のリスクを低くするためには、日頃の性病予防が必要になるでしょう。
そのようなカップルは中出しをするのはできるだけ避けましょう。
やはり性病を予防するにはコンドームが一番効果的。
正しく使えばかなりリスクを減らすことができます。
治らない性病にかかってしまったら、いくら後悔しても元には戻りませんからね。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/condom/”]もし治りにくい性病や治らない性病にかかってしまったら?
ある日、性病検査を受けてみたら、運悪く治らない性病にかかってしまっていた…。
考えただけでも恐ろしいかもしれませんが、性病にかかったからといってセックスライフがそれで終わってしまうわけではありません。
パートナーへの感染予防に配慮すれば、これからも性生活は続けていくことができるのです。
治りにくい性病の場合は治癒の確認が大事
治りにくいタイプの性病では、症状が無くなったからといって安心してはいけません。
症状が消えていても病原体が残っていて、再発やパートナーへの感染源となる可能性があります。
けっして見た目の症状だけで判断することなく、確認の検査を受けて陰性化したことを確認してからセックスを再開するようにしましょう。
治らない性病でも性生活を続けていく方法はある
HIVについては、ウイルス自体の感染力は弱いので上の方で書いたセーファーセックスの考え方で取り組めば、これからも普通の人と変わらないセックスライフを送ることは十分可能です。
B型肝炎ウイルスに関しては、ワクチンによる予防が可能なので、パートナーがワクチン接種をすることでセックスが可能です。
C型肝炎にはワクチンがありません。
B型肝炎ウイルスほどは感染力は強くないため、コンドームを正しく使えばかなりリスクを減らすことはできます。
治らない性病の場合は他の性病以上に予防が重要であると言えます。
大丈夫だろうと高をくくっていても、感染してしまえば取り返しがつかなくなってしまいます。
それでも性生活を続けていくことはできますが、後悔のないように性病検査と予防に努めることをおすすめします。
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