梅毒なんて昔の性病で、「自分には関係ない」って思っていませんか?
最近の若い人はクラミジアには注意しても、いまさら梅毒になるなんて思いもしない人が多いようですね。
あるいは昔の性病だから今は絶滅したと思いこんでいる人も。
しかし、今でも梅毒は毎年多数の患者が出ていますし、特にこの2~3年は急激に増加していて、もはや過去の性病ではなくなってきているんですよ。
この記事では梅毒の症状について詳しくまとめ、梅毒にかからないために気をつけるべきポイントについて解説しています。
ちょっと気になる症状がある、心当たりのある行為をした、なんて心配になっている人はじっくり読んでみてください。
きっと疑問が解消すると思います。
検査方法や対処方法も解説してありますので、自分とパートナーの体を守るための参考になれば幸いです。
細かいことはいいから、先に検査について知りたい方は→梅毒の検査方法、治療について知りたい方は→梅毒の治療方法へショートカットしてください。
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目次
梅毒になったらどんな症状が出るのかを詳細に解説
梅毒に感染すると時間経過とともに変化する病期や、梅毒トレポネーマにおかされた部位や臓器によって、さまざまな症状をあらわします。
ちょっと他の性病にはない多様さなので、”梅毒はこの症状”と一言では言えない難しさがあります。
病期が分かれる顕症梅毒
梅毒には、感染していても症状をあらわさない無症候梅毒(潜伏梅毒)と、症状をあらわす顕症梅毒の2つに分けられます。
さらに顕症梅毒は時間を経て、第1期から第4期の4つ(あるいは第1期、第2期、晩期の3つ)の段階に分かれます。
それぞれの病期で特徴的な固有の症状をあらわします。
第1期梅毒(早期顕症梅毒)の症状
引用「性感染症 診断・治療 ガイドライン 2016」
第1期は潜伏期間が明けた感染から約3週間(10~90日の幅がある)で、最初に感染した部位に小さな硬いしこりをつくります(初期硬結といいます)。
通常5mm~2cmくらいまで大きくなり、その後、周りが盛り上がって中央が潰瘍状になった硬性下疳(こうせいげかん)と呼ばれるできものになります。
硬性下疳は痛みが無く、あっても軽いため本人も自覚していないことがあります。
特に、女性や男性同性愛者の場合は膣や肛門にできやすいので、見落としやすいので注意!
硬性下疳とともに近くのリンパ節が腫れる(無痛性横痃(むつうせいおうげん)といいます)ことが多いですが、これも痛みを伴いません。
第1期の症状は治療をしなくても2~3週間で自然に消えてしまいます。
これが梅毒の厄介なところで治ったと思って安心してしまうんですね。治療が遅れ相手にうつしてしまう可能性が高くなります。
次の第2期が始まるまでは、症状がないまま(後述の潜伏梅毒)全身に広がった梅毒トレポネーマによってひそかに病気が進行します。
感染した梅毒トレポネーマは最初の初期硬結にとどまっているわけではなく、感染後数時間であっという間に全身に広がります。
進行が遅いためにあとで全身に症状が出てくるのです。
第2期梅毒(早期顕症梅毒)の症状
第1期のあと潜伏期を経て、感染から約3ヶ月でふたたび症状が出てきます。
第2期の特徴はバラ疹に代表される皮膚症状でどれも痒みや痛みなどの症状はありません。
有名なのはバラ疹ですが、もっと頻度の高い丘疹性梅毒疹など多彩な発疹がありますので、以下に表にしてまとめました。頻度の高い順に記載しています。
発疹の種類 | 特徴 |
---|---|
丘疹性梅毒疹 | 感染後12週ほどで出現 バラ疹に続く時はその2~3週後に出現 体を中心に5mm~1cmの赤褐色の丘疹が多発 |
梅毒性乾癬 | 乾癬に似た斑状の皮疹が手のひらや足の裏に限定して出現 |
梅毒性バラ疹 | 第2期の一番早い時期に出現 5mm~2cmの淡い紅斑が全身に多発 手のひらに好発 微熱や倦怠感を伴うことが多い |
扁平コンジローマ | 薄いピンク~灰白色の扁平に隆起するジュクジュクした丘疹 肛門・陰部・脇の下・おっぱいの下などジメジメしたところにできやすい 多数の梅毒トレポネーマがいて感染源になりやすい |
梅毒性アンギーナ | 口の中にできる粘膜病変 主に扁桃腺~軟口蓋に発赤や腫脹があらわれる |
梅毒性脱毛 | 感染後6ヶ月くらいで5mm~2cmの不完全な脱毛が頭部に多発 虫食い状のまばらな頭髪になる |
膿疱性梅毒疹 | 膿疱が多発する 丘疹性梅毒疹から移行する場合がある 全身状態が悪い患者や免疫が低下している患者に起こりやすい |
第2期であらわれた症状も、数週間から数カ月の間に自然に消えてしまいます。
そのまま無症候の潜伏梅毒に移行したり、何度か2期の病変を再発しながら3期・4期の晩期梅毒に移行していくこともあります。
梅毒の症状といえば2期のバラ疹がよく知られています。
でも本当は、これだけバラエティーに富んだ症状を出すのです。
なかでも、感染しやすい扁平コンジローマには要注意ですね。2期患者の10%に認められる皮疹です。
さらに、免疫が低下している時に出てくる膿疱性梅毒疹も要注意!HIVの併発が疑われます。
梅毒に感染して第1期、第2期と症状が進行し、そのまま治療をせずに放っておくと、1/3の確率で次の晩期梅毒の症状が出てきます。
第3期梅毒(晩期顕症梅毒)の症状
感染後3~10年の間に以下のような症状があらわれてきます。
顔面に赤銅色の結節が多発する結節性梅毒や、皮膚・粘膜・骨などに肉芽腫の1種であるゴム腫と呼ばれるゴム様のできものができます。
昔、よく言われた、梅毒で鼻が落ちてしまうというのは、この第3期の症状によって起こります。
しかし、梅毒の治療法が確立した今では、ここまで進んだ病期の梅毒を見ることはほとんどありません。
第4期梅毒(晩期顕症梅毒)の症状
感染から10年以上経つと、皮疹などの表面的な症状は出なくなり、血管や心臓、神経系の症状が出てきます。
心血管梅毒・・・心筋炎・大動脈炎・大動脈瘤などが起こる
神経梅毒・・・脊髄癆・進行麻痺などの症状。早期(感染後数週間~数年)に髄膜炎や脳梗塞が出ることもある
現在は第3期梅毒と同様に、治療の発達によりこれらの症状まで進むことはきわめてまれです。
参考:国立感染症研究所、山の手クリニックきわめてまれと言っても、感染者数が激増している最近は年間100人前後の晩期顕症梅毒の患者が報告されています。
とても安心できる数ではないですね。
昔は、大半の人が第4期まですすんでしまっていたので、多くの著名人が梅毒で亡くなっています。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/seibyorekishi/”]症状のない潜伏梅毒(無症候梅毒)
梅毒にはいくつかの無症状の期間があり、感染を見逃す要因になっています。
- 感染後第1期の症状が出るまでの無症状期間
- 第1期の症状が消失して第2期の症状が出るまでの期間
- 第2期の症状が消失して第3期の症状が出るまでの期間
- 治癒しているが血清反応は陽性(陳旧性梅毒)
以上の4つを潜伏梅毒といいます。
特に、感染後の期間で早期潜伏梅毒と後期潜伏梅毒に分けられます(第2期の症状消失後を対象)。
早期潜伏梅毒・・・感染後1年以内の潜伏梅毒。第2期の症状を再発するのはほとんどがこの期間
後期潜伏梅毒・・・感染後1年以上の潜伏梅毒
見逃されやすい口の中にできる梅毒病変や症状のない梅毒について以下の記事で詳しく書いていますので参考にしてください。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/kuchinobaidoku/”]先天梅毒の症状
梅毒は胎盤感染により胎児に感染が起こります。
妊娠の早期に感染してしまったら流産や死産の原因になります。
通常、妊娠4ヶ月以降に胎児に感染するとそのまま生育することが多く、赤ちゃんは梅毒に感染している先天梅毒として生まれてきます。
すでに胎盤を通して全身に梅毒が感染しているため、赤ちゃんの症状は第2期から始まります。
早期先天梅毒・・・生後6ヶ月以内に始まる第2期の症状。梅毒疹、骨軟骨炎、梅毒性鼻炎などが起こる
晩期先天梅毒・・・学童期(小学生の頃)に始まる第3期の症状。永久歯の奇形、実質角膜炎、内耳性難聴などが起こる
[blogcard url=”https://sticheckup.com/vertical/”]梅毒の感染経路は?何をしたら伝染るのかを徹底解説
性病である梅毒はセックスでうつるのは当然ですが、どのような行為までがアウトなのでしょう?
また、普通に生活していて感染するような心配はないのでしょうか?
梅毒はあらゆる性行為で感染します!
普通の膣性交や、男性間で増える原因になったアナルセックスはもちろん感染経路として重要ですが、梅毒は他のあらゆる性行為でも感染する可能性があります。
- 性器同士の接触
- 膣性交
- アナルセックス
- オーラルセックス(フェラチオ)
- クンニリングス
病原体の梅毒トレポネーマは
- 血液
- 精液
- 膣分泌物
などに含まれています。
これらと粘膜や傷が触れると感染してしまいます。
症状のところでお話したように、梅毒は皮膚や粘膜に病変(硬性下疳(こうせいげかん)、バラ疹)をつくります。
その病変には多数の病原体(梅毒トレポネーマ)が存在するため、性行為以外でも接触によって感染する可能性があります。
そのためコンドームの使用は感染リスクを下げることができますが、確実に予防できるわけではないので過信しないでください。
確実な予防はできなくてもリスクは減りますし、性病は他にもたくさんあるのですから、特定のパートナー以外とのセックスでは必ずコンドームを使いましょうね。
キスでも感染の可能性がある梅毒
梅毒で性行為以外で気をつけないといけないのが、キスでも感染する可能性があることです。
フェラチオやクンニリングスで性器から口に感染した場合、症状の項目でお見せした写真のように硬性下疳がくちびるにできます。
この硬性下疳のできている時にキスをすると、相手に梅毒がうつってしまうことがあります。
また、病変がなくても唾液に梅毒トレポネーマが含まれている可能性があります。その場合は硬性下疳がなくても相手にうつってしまうかもしれません。
「性行為をしていないから梅毒に感染するわけがない」
というのは、キスには当てはまらないことがありますので注意しましょう。
乳輪に病変が出ていて愛撫した口に感染したり、その逆に口から乳輪に感染するということもあります。
単純な接触や血液からの感染の心配はほとんどない
梅毒感染者の血液や精液などの体液に梅毒トレポネーマが含まれているといっても、一般生活での接触程度で感染する心配はほとんどありません。
梅毒トレポネーマは培養困難で研究が進んでいないのですが、低酸素状態の環境でしか長く生きられないという特徴があるからです。
つまり、空気に触れる環境の中ではすぐに感染力を失ってしまいます。
なので、普通に生活をしているくらいでは感染する可能性は非常に少ないのです。
ただ、バラ疹など皮膚病変が出ている時期には、体を拭くタオルなどは共用しない方が無難でしょう。
昔は、輸血製剤からの感染もよくありましたが、現在はチェックが行き届いているので感染例はありません。
新鮮血の輸血も梅毒のチェックがされるのでほとんど心配ありませんが、唯一、感染初期で血清反応が陰性の段階で採血された血液から感染する可能性はあります。
梅毒感染リスクは男性同士のホモセクシャルから異性間へ変化
梅毒の再流行の当初は男性同性愛者のアナルセックスによってまん延していると考えられていました。
しかし、この2、3年は男性患者の増加に呼応するように女性患者が増え、特に若い世代では男性と同程度にまで女性患者が出るようになりました。
今は、性行為もさらに多様化して、異性愛や同性愛を超えてバイセクシュアルの人も増えてきています。
急増した男性患者の中には、バイセクシュアルの人もいるはずです。
バイセクシュアルの男性患者が、今度は女性にも梅毒を広げていっているのでしょう。
そして感染した女性患者が今度はノンケの男性に感染を広げる、という悪循環に入ってきていると考えられます。
もう梅毒は異性間であっても気をつけないといけない性病になっていることを認識しておきましょう。
梅毒は治癒しても何度でも感染する可能性がある
梅毒は完治しても免疫がつくられません。
たとえ梅毒に1度感染して治った経験があっても、再度の感染を防ぐほどの免疫はつくられません。
同じようなリスクの高い行為をしていれば何度でも梅毒になってしまいます。
そのため、後で述べるピンポン感染を繰り返す原因にもなります。
梅毒は治っても、またあらたな気持で予防対策や定期的な性病検査に取り組んでいくことが大切です。
梅毒は症状がなくてもパートナーに感染することもある
梅毒は感染しても症状が出ないことや、前述したように病期の合間で症状のない時期があります。
しかし、このような時でも、血液・精液・膣分泌物(あるいは唾液)に梅毒トレポネーマが含まれているので、自分でも気づかないうちに性行為などでパートナーに感染させてしまう可能性があります。
これを防ぐには、定期的に性病検査を行ったり、気になる症状があればすぐに検査するなどして自衛するしかありません。
梅毒でもピンポン感染することがある
梅毒には無症状の例や時期があるため、クラミジアや淋病でよく問題になるピンポン感染も起こります。
ピンポン感染とはカップル同士でうつし合うこと。
自分が梅毒と判明して治療をしても、知らない間にパートナーも感染していれば、治療後にふたたびパートナーから梅毒をもらってしまうことになります。
片方に梅毒の感染がみつかったら、パートナーに症状がでていなくてもすでに感染しているものと考えて、検査・治療を一緒にするようにしましょう。
ピンポン感染について詳しくはこちらの記事をご覧ください。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/pingpong/”]梅毒は母子感染(胎盤感染)のリスクもある
妊婦さんが梅毒に感染していると流産、早産や死産の原因になります。生まれたとしても先天性の障害を引き起こすこともあります。
また、たとえ順調に胎児が育ったとしても、胎盤を通して梅毒に感染して生まれてくることになります(先天梅毒)。
現在は妊娠時の検査で見つけることができるので、治療によって先天梅毒として生まれてくる赤ちゃんはほとんどいなくなりました。
それでも感染者数が増えてきたこの数年は、年間10例以上の先天梅毒が報告されていますので決してあなどれません。
流産や早産の可能性がありますし、治療によって流産する可能性もあります。
ベストは定期的な性病検査で、妊娠前に梅毒を見つけて治療しておくことです。
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梅毒はHIV感染リスクを増す
梅毒で気をつけないといけないリスクに、HIV(エイズウイルス)への感染リスクが高くなってしまうことがあります。
もともとHIVは感染力が弱いウイルスなのですが、粘膜に傷や潰瘍などがあると感染する確率が急上昇するのです。
ノーマルに比べて感染しやすさはなんと約2.5倍!
また、梅毒の感染経路として重要なアナルセックスは、HIVの感染経路としてもリスクが高く、挿入される側は膣性交に比べると14倍もHIV感染しやすいとされています。
つまり梅毒の症状がある人がHIV感染者とアナルセックスをすることは、非常にリスクが高い行為なのです。
梅毒が疑われる時は、同時にHIVとセットで検査することをおすすめします。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/hivinfection/”]いつ感染した?梅毒の潜伏期間はどのくらい?
もし梅毒に感染したとしたら、心当たりのある行為を行ってから、どのくらいの期間経ってから症状が出てくるのでしょう?
一般に潜伏期間は感染から約3週間(10~90日の幅がある)と考えられていて、梅毒トレポネーマが侵入した部位に硬いしこりのような”できもの”ができます(後述する初期硬結)。
その後、梅毒は時間の経過とともにさまざまな症状を見せていきます。
最初のこの”できもの”は痛みがないうえに短期間で治ってしまうので、もっと病期が進んでから気づくことも少なくありません。
おかしいと思ったら、確実に感染を知るために積極的に性病検査を受けましょう
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梅毒とはどんな病気なの?
今はクラミジア全盛の時代なので、若い人たちが性病を気にする時には、クラミジアのことは心配しても梅毒の心配はあまりしていないように思います。
梅毒の名前は知っていても、すでに過去の性病という認識なのでしょうか?
梅毒は古くからある性病の代名詞
梅毒は500年以上も前の昔から、世界中に広がっていた性病です。
一般には、コロンブスがアメリカ新大陸発見の際に、乗組員が現地人と性行為したことで梅毒に感染し、それをヨーロッパに持ち帰って広めてしまったといわれています。
それ以前からヨーロッパで広まっていたという説もありますが、どちらにせよ治療法のなかった当時はあっという間に広がり、ヨーロッパから中国、さらに日本へと伝わってきました。
長い間、性病と言えば梅毒が一番に挙げられるほど性病の代名詞的存在でした。
かのナポレオンやベートーヴェン、リンカーンなど歴史上の人物も梅毒になったといいますから、いかに梅毒がまん延していたかが想像できますね。
梅毒の病原体は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌
梅毒はスピロヘータ属の梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌によって起こります。
らせん状の細長い菌ですが、非常に薄いため普通の顕微鏡で観察することはできません。
また、培養することも困難な菌で、そのため研究が進まず、どのようにして梅毒を発症させるのかはいまだに不明なのです。
梅毒は今も現役!この数年は猛威をふるっている
参考:厚生労働省データ
1943年に治療薬のペニシリンが開発されてからは、梅毒の患者数は劇的に減少しました。その後、1960年代、1980年代に一時再流行しましたが、1990年代に入って減少傾向にありました。
ところが2000年代に入って再び増加傾向になり、2010年頃からは急激に増加しています。
2015年には2690人だったのが2016年には4559人と一気に増えています。その数は尖圭コンジローマの5730人に迫っています。
梅毒はもはや過去の性病とは言えない現役バリバリの性病になっているのです。
梅毒は5類感染症で全数報告の義務がありますので、この数は医療機関を受診した患者数の実数です。 しかし、潜伏梅毒(前述)で本人が気づいていない例も多いことから、実際の感染者数はもっと多いと考えられます。
梅毒がふたたび勢いをとりもどした原因は、男性同性愛者の増加によるアナルセックスの普及によるところが大きく、少し前まではホモセクシャルの人の間に広がる性病という認識でした。
しかし、この2、3年は異性間の性行為による患者数が急激に増えてきていて、男女間のセックスでも十分気をつけなくてはいけない性病となりました。
上のグラフのように、若い世代では女性でも男性と変わらない数の梅毒患者が発生しているのです。
もし性病が心配でいくつかチェックするのなら、梅毒はクラミジア・淋病・HIVとならんで必ず調べたい性病ですね。
追記
2017年はさらに梅毒患者は増えて、いっこうにおさまる気配はありません。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/baidoku2017-2/”]
梅毒の検査方法は?
梅毒の感染を調べるには、梅毒トレポネーマを直接探す、脂質抗原あるいは梅毒トレポネーマ抗原を調べる2種類の血清反応、の3つの方法が用いられます。
梅毒の疑いがあれば何科に行けばいいの?
基本的には女性なら婦人科・産婦人科・内科・性病科・感染症科、男性なら泌尿器科・内科・性病科・感染症科です。
しかし、症状の出ている場所で多少異なったりしますので、詳しくはこちらのページで確認してください。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/nanikaniiku/”]梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の検出
病院で行われる方法で、梅毒トレポネーマの多い皮疹から検体を採取して梅毒トレポネーマそのものを探します。
特殊な暗視野顕微鏡を使って熟練した技師が検査する必要があるので、行っているところは少ないです。
血液をとって2種の梅毒血清反応から診断
梅毒診断の主流は血液を採取して行う2種の梅毒血清反応です。
後述する抗カルジオリピン抗体測定と抗トレポネーマ抗体測定には長所・短所があるので、組み合わせることで正確な判断ができます。
それぞれの検査結果の解釈を先に表にしておきますね。
抗カルジオリピン | 抗トレポネーマ | 検査結果の解釈 |
---|---|---|
ー | ー | ・梅毒に感染していない ・梅毒感染初期(2週間以内) |
+ | ー | ・梅毒感染初期(2~4週間) ・他の病気で抗カルジオリピンが上昇 |
+ | + | ・梅毒感染 |
ー | + | ・梅毒治療後(治癒後) ・梅毒感染から長い年月が経つ |
抗カルジオリピン抗体(脂質抗原に対する抗体)を測定をする
梅毒感染で増加する抗カルジオリピン抗体を測定します。
抗トレポネーマ抗体よりも反応が早く、感染後2~4週間で検出できます。
しかし、別の病気でも上昇するため、偽陽性(感染していないのに陽性と出る)である可能性もあります。
梅毒治療後、治癒すると徐々に下がってくるので、治癒確認検査に使えます。
抗トレポネーマ抗体(梅毒トレポネーマを抗原とする抗体)を測定をする
梅毒トレポネーマそのものに対する抗体を測定します。
抗体があらわれるまで、感染後4~6週間と時間がかかるため、初期硬結や硬性下疳の第1期の症状が出ていても陰性の結果が出ることがあります。
心当たりのある行為からあまり日にちが経っていない場合は、検査を少し遅らせるか、陰性と出ても2~3週間のちに再検査をする必要があります。
また、一度梅毒に感染すると、抗梅毒トレポネーマ抗体は生涯消えませんので、梅毒治癒後にふたたび梅毒感染した時の判定には抗カルジオリピン抗体測定との併用が必要です。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/baidokukensachiryo/”]GME医学検査研究所のキットなら365日無休、最速1~2日で結果が出るので、急いでいる人におすすめです。
病院・保健所・性病検査キットで検査可能
日本では、梅毒の検査は病院・保健所・性病検査キットの3通りの方法で行うことができます。それぞれにメリット・デメリットがありますので、わかりやすいように表にまとめてみました。
病院 | 保健所 | 性病検査キット | |
---|---|---|---|
メリット | ・結果が出たらそのまま治療もできる
・ 疑いが強い時はすぐに治療を始められる ・症状がある時は健康保険が使える |
・通常、無料で検査を受けられる | ・誰とも会わずに検査できる
・最速1~2日で結果が出る ・病院の検査と同じ検査で信頼できる ・症状がない時の確認のための検査では病院と費用は変わらない |
デメリット | ・病院へ出入りするので匿名性が低い(保険を使えばもっと)
・診察を受けるのが恥ずかしい(必要なら内診がある) ・結果が出るまで時間がかかる |
・検査できる保健所が限られる
・検査可能な保健所でも人数に制限がある ・書面で結果をもらえないことも多い ・改めて病院を探さないといけない |
・陽性結果が出たら改めて病院へ行かないといけない
・自分で検体を採取するのが不安 |
性病検査キットでの検体採取方法
郵送で行う性病検査キットでは、自分で血液を採取する必要があります。
ここではGME医学検査研究所の性病検査キットでの採取方法を記載しています。手順は他の会社のキットでも同じようなものです。
GME医学検査研究所の梅毒検査は抗トレポネーマ抗体を測定するTP・PA法という測定方法です。
感染初期には陰性に出てしまうため、心当たりのある行為から1~2ヶ月はあけて検査を受けましょう。
血液の採取方法
前もっての準備が必要です。採血前にお風呂に入るか指先をお湯に入れて血行をよくします。温まったら指先をマッサージします。通常は人差し指を使います。
緊張すると血管が収縮するのでリラックスして行ってください。ランセットという専用の採血器具を使うので、簡単で痛みもチクッするくらいなので心配ありません。指先の両サイドが痛みを感じにくいです。
- ランセットのキャップをねじり取ります。
- アルコール綿花で採血する部位を拭き、乾かします。
- 採血する指を机の上などに置いて固定し、ランセットを当てます。
- ランセットを押し込むと針が飛び出て皮膚を刺します。
- 刺した指を下へ向け、肘から指先にかけて反対の手で絞ります。
- 検査用ろ紙の所定の部分に血液を落とします。
落ちない場合はろ紙に軽く押し当てます。 - 出血部位を数秒おさえて止血してから絆創膏を貼ります。
梅毒にかからないために心がける予防対策
性行為をする時はコンドームの使用を
体や手足などに皮疹ができている時には予防効果は期待できませんが、硬性下疳は性器やアナル、口などにできやすいので、コンドームを使うことで感染する確率を下げることができます。
梅毒フリーがはっきりしている特定のパートナー以外と性行為する時はコンドームを使用しましょう。
特に不特定多数の人と性行為をする人は必ず使用しましょう。
フェラチオやアナルセックスでも必要なことを忘れないでください。
潜伏梅毒で症状がない時期が長いので心当たりがあれば積極的な検査を
梅毒はコンドームを使っていても感染していることは珍しくありません。
しかも、梅毒の症状が出ない潜伏梅毒の期間が長いため、一時的に出る皮疹を見逃すと、そのまま感染に気づかずに過ごしてしまうことがよくあります。
症状の出ていない時に梅毒に気づくのは困難なので、活発にセックスをしている人や、ちょっと気になるという人は自ら積極的に性病検査を受けるようにしましょう。
また、1度の検査で梅毒にかかっていないとわかっても、付き合う相手が変わるなどの節目に定期的に検査をするのが理想です。
パートナーと一緒に検査をしましょう
パートナー間で性病をうつし合うピンポン感染はクラミジアや淋病で問題になりますが、梅毒でも起こる可能性があります。
梅毒は無症状の時期が多いので、パートナーの一方にだけ症状があり、他方には症状がないということもあります。
梅毒は一度治癒しても何度でもかかる性病ですから、無症状のパートナーも治療を受けないと、また梅毒をもらってしまうことになります。
パートナーのいる方で梅毒の症状が出ている人は、必ず、パートナーも一緒に検査を受けましょう。
梅毒は免疫がつかないので人によっては定期的な検査を
梅毒は一度感染しても感染を防げるだけの免疫はつきません。梅毒から回復して完全に治癒しても、感染すれば何度でも発症を繰り返す可能性があります。
他の病気のように、「自分は一度かかったことがあるから感染する心配はない」という考えは通用しないので注意してください。
治癒後も、不特定多数との行為をしている人は定期的な検査を受けたり、気になる行為があった人は積極的な検査を受けるようにしましょう。
ただし、2回目以降の感染には性病検査キットは使えません。
性病検査キットでは、各社、抗トレポネーマ抗体を測定する検査を採用しています。
抗トレポネーマ抗体は梅毒に1度感染すると、治癒してからもずっと陽性結果が出るので、2度目以降の感染の判定には使えません。
病院において、抗カルジオリピン抗体測定と抗トレポネーマ抗体測定の両方の検査を行なって判断する必要があります。
梅毒って治るの?治療方法は?
梅毒の治療にはペニシリン系の抗生物質がよく使われます。やむを得ず使えない場合はテトラサイクリン系やマクロライド系の抗生物質を用います。
使う薬剤は同じでも、梅毒の病期によって投与期間が異なります。
梅毒治療の薬剤投与量
アモキシシリン(ペニシリン系)
サワシリンやパセトシンなどがあります。
サワシリンなど :500mg 1日3回
ミノサイクリン(テトラサイクリン系)
ミノマイシン :100mg 1日2回
ドキシサイクリン(テトラサイクリン系)
ビブラマイシン :100mg 1日2回
ベンジルペニシリンベンザチン(ペニシリン系)
バイシリンG :120万単位を1日3分割 現在、品不足のため梅毒の治療には使えません。
本来は、ペニシリンGの筋注が第1選択の薬で、アメリカをはじめとする海外では今も梅毒のスタンダード治療として行われています。
しかし、日本においてペニシリンGの筋注でペニシリンアレルギーによる死者が出たため、現在は使うことができなくなっています。
ペニシリンG筋注を使えば、早期の梅毒なら1回の注射で治療が完了します。
この1~2年の梅毒の猛威によって、ふたたびペニシリンG筋注を解禁する動きが出ているようです。
患者さんの負担が減りますから、ぜひ、解禁して欲しいですね。
治療薬の投与期間
第1期
前述の抗生剤を2~4週間内服します。
第2期
前述の抗生剤を4~8週間内服します。
第3期以降
前述の抗生剤を8~12週間内服します。
※難治のため半年ごとの反復治療が必要かもしれません。
第1期・第2期の治療で抗生剤を服用すると、急速に大量の梅毒トレポネーマが死んでしまうため、薬を飲んでから数時間で40℃前後の発熱や皮疹が悪化する中毒反応が起こります(ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応)。
NSAIDsの投与などの対応が必要なので、必ず、お医者さんのもとで治療を受けましょう。
神経梅毒の治療
脳や脊髄には、髄液(脳・脊髄の中や外を満たす液)に薬剤が十分行き渡らないため、通常の抗生剤内服では治りません。
そのためペニシリンGの大量静注を行います。
ペニシリンG :200~400万単位 1日6回 10日~2週間
妊娠中に梅毒が判明した時
妊娠中に梅毒が判明した時も、病期ごとの投与法にのっとってペニシリン系の抗生剤を服用します。
妊婦さんがペニシリンアレルギーの場合は、アセチルスピラマイシンを200mg 1日6回服用します。
※妊婦の場合、ヤーリッシュ・ヘルクスハイマー反応によって早産や流産することがあります。
先天梅毒の治療
新生児や子どもの先天梅毒を治療する場合は神経梅毒と同じように、内服による治療ではなくペニシリンGの点滴による治療を行います。
潜伏梅毒の治療
潜伏梅毒では、抗カルジオリピン抗体価が16倍以上を目安に治療を行います。
治療は通常の抗生剤内服による治療ですが、投与期間については感染時期を特定できる場合は病期を推定して、その病期にのっとった期間を内服します。
感染後1年以上経過 or 感染時期が不明の場合は8~12週間服用します。
梅毒が治癒したかどうかの判断は?
治療終了後に、抗カルジオリピン抗体価を測定して、治癒したかどうかを判定します。
抗体価が8倍以下になっていたらOKです。
性病検査キットでは、抗トレポネーマ抗体を測定しています。抗トレポネーマ抗体は治癒後も消失しませんので治癒判定には使えません。
梅毒では性病検査キットを治癒確認には使わないでください!
梅毒がちゃんと治ったかどうかは、必ず、医療機関で検査を受けて確認してください。
抗カルジオリピン抗体の抗体価が16倍以上の場合は、まだ治っていないか再感染しています。
再度、治療をする必要があります。
まとめ
梅毒がふたたび勢いを取り戻して、これだけまん延していることをまだほとんどの人が知らないのです。
ところが現実はパンデミック状態。
現状では、感染していることに気づいていない人同士で、まだまだ感染を拡げていく可能性が高いです。
梅毒から自分とパートナーの身を守るためには、梅毒のことをちゃんと知って、コンドームを使ったり、積極的に性病検査を受けて、自己防衛するしかありません。
病院で検査を受けるのが恥ずかしい人は、まず性病検査キットを使って自分で確かめてみるといいですよ。とても簡単であっという間に結果が出るので検討してみてください。
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