トピックスでも紹介しましたが、世界的に淋菌の耐性化が深刻な問題になってきています。
以前は、淋病は代表的な性病ではありましたがそれほど治療が難しいわけではなく、長く恐れられていた梅毒や新しくでてきたエイズや患者数が非常に多い性器クラミジアの陰に隠れ、あまり目立たない存在でした。
症状の似たクラミジアのちょっときついバージョンくらいの認識しかされていないのが実情でしょう。
ところが近年になって淋菌は急速に耐性菌化が進み、今や最も恐れるべき性病になりつつあります。
もう簡単に治せる性病ではなくなったのです。
アメリカ疾病管理予防センター(CDC)が警告
CDCは感染症対策の研究所でアメリカ国内国外を問わず人の健康と安全を守る機関です。CDCの発表する文書は全世界で感染症予防のスタンダードとなる影響力を持っています。
そのCDCが2013年に発表した報告書の中で、最も脅威であると挙げられた3つの細菌のうちの一つに多剤耐性淋菌が入っているのです。
淋菌はこれまでに保険適用ニューキノロン系やテトラサイクリン系の抗生物質が効かなくなってきており、推奨薬としては注射によるセフトリアキソン、セフォジジム、スぺクチノマイシンしかありません。
淋菌の咽頭感染に至っては推奨薬はセフトリアキソンただ一つです。
今回報告書で指摘された多剤耐性淋菌はこの数少ない第一選択薬のセフトリアキソンにも耐性を示します。
ネットで調べるとジスロマック(アジスロマイシン)が淋菌治療に効くという記載を見かけますが、ジスロマックは淋菌の尿道炎や子宮頸管炎は適用にはなっていません。治療に用いるにしても高用量が必要ですし、今は効かない症例も多いようです。
つまり、淋菌に対する治療のカードはもうほとんど残っていないのです。
淋菌耐性化の先進国とも言われる日本の現状
先のCDCの報告書で指摘された多剤耐性淋菌は現在までに世界で5例が報告されています。その世界初の症例は日本の風俗で働く人から検出されました。
その後フランス、オーストラリアと症例が見つかり、残り2例はまた日本で見つかっています。つまり、5例のうち3例までが日本で発見されているのです。
また、先のセフトリアキソンに対する淋菌の耐性化も日本は進んでいて、セフトリアキソンに対して低感受性を示す菌株の割合がアメリカでは1%前後なのに対して、日本では10%以上にもなります。
治らない淋病にならないためには自己防衛するしかない
性病全般に言えることですが、パートナーが感染しているかどうかは外からは判断できません。相手自身も気づいていない場合も多いですので、自らが感染の可能性は常にあると言うつもりで対策をしなければなりません。
症状が出ていれば、できるだけ早く医療機関で治療を受けるのは当然ですが、何かささいな異変を感じてもできるだけ性病検査を受けるようにすることが大事です。
理想的には定期的な性病検査が望ましいですが、それが無理なら最低でも付き合う相手が変わる時には検査を受けたいものです。
多剤耐性淋菌はまだ少数しか見つかっていませんが、薬が効かないだけに一旦広がりだしたら、一気にアウトブレイクしかねません。
自分の体とパートナーの体を守るためにも、不特定の人との性交渉を控え、できるだけコンドームをつけるとともに積極的に性病検査受けるようにしましょう。
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