帯下(おりもの)とは、膣、子宮頚管や子宮の粘液や組織片が増加して、外陰部から流れ出てくる分泌物のことを言います。
月経の時に見られる血液混じりのものや、性行為時に分泌される液体はおりものには含まれません。
男性には馴染みのないおりものですが、女性にとっては悩みの種になったりするものなのです。
おりものの量や性状の変化は普通にあるもので、例えば排卵期には量が増えたりします。(生理的なおりもの)
それに対して病的なおりものの多くが感染性のもので、量が異常に増えたり悪臭を発したりします。
そして病的なおりものの大半が性病によるものなのです。
ですから、おりものに何か異常を感じれば病院へ行くのがいいのですが、デリケートな問題なのでなかなかお医者さんに相談できないものです。
それでも明らかな異常であれば覚悟を決めて病院へ行くしかありません。
その判断をするためにも、正常なおりものと病的なおりものについて正しい知識を身に付けておく必要がありますね。
この記事では、正常なおりものと各性病ごとの特徴的なおりものについてくわしく解説しています。
性病からくるおりものの場合は、特徴的な性状のおりものが出ることが多いので、生理的おりものとの違いを知っておくと、性病の早期発見に役立ちます。
目次
正常のおりものを知っておこう
おりものに対して、多くの女性の方が不快に思っていると言われます。
実際、おりものの量が多い時は下着を汚してしまうので、おりものシートが必要になったり、ナプキンを使ったりとても面倒です。
おりものなんて出なければいいのにと思ってしまいますが、実はおりものはとっても大事な役割があります。
おりものの働き
1つは、外から入ってくる細菌が膣内で繁殖するのを防ぐ働きがあります。
腸内細菌でつくる腸内フローラというのを聞いたことがあるとおもいますが、膣内にも同じように善玉菌といえる菌が環境を守ってくれています。
膣内には乳酸菌の1種であるデーデルライン桿菌が常在菌の75~95%を占めていて、膣内の環境をpH3.5~4.5という弱酸性に維持しています。
この弱酸性の分泌液があることで、病原菌が増殖するのを防いでくれているのです。
もう1つは、おりもの(分泌物)は受精の際に精子が卵子まで到達するのをサポートする大切な役目もあります。
おりものの大切な働き
- 膣内をきれいに保つのに欠かせない
- 妊娠を手助けしてくれる大切な存在
正常なおりものとは
おりものが大切な役割を果たしてくれていることは理解していただけたと思います。
上に書いたように、おりものの異常は病的な原因によることがあるのですが、正常でも時期によっておりものの性状には変化が見られます。
おりものの異常に気づいて性病を早期発見するためにも、まず正常のおりものについてしっかり把握しておく必要があります。
以下に、正常のおりものの特徴を色・ニオイ・量に分けて表にしてみました。
- 色・粘性
- 透明~やや白っぽく濁る
乾くと黄色っぽくなる
水のようにサラッとしているものから粘りがあるものまで
黄体期から生理前にかけてはドロッと粘りが出てくる - ニオイ
- 無臭に近いものから酸っぱく臭うものまで
デーデルライン桿菌は乳酸菌のためお酢を薄めたように酸っぱく感じるのは正常です。 - 量
- 量は個人差があるので日頃のあなたの量を把握しておきましょう
1~6ml/日くらいのおりものの量は正常です
それでも時期によりおりものの量は変化します
排卵期には量が最も多くなります
このような範囲でのおりものの変化であれば、あまり心配する必要はないでしょう。
しかし、さらに変化してこの基準を超えてくるようなら要注意です。
こんなおりものには要注意!性病かもしれません
日頃の自分のおりものを覚えておくと、おりもの状態に変化があった時にすぐに気づくことができます。
色・ニオイ・量に明らかな異常が認められたら、感染性の膣炎、特に性病による症状である可能性があります。
中でも、細菌性膣症・カンジダ症・トリコモナス症の3つでおりもの異常の原因の90%以上を占めます。
ここでは各性病で見られる、おりものの異常についてまとめてみました。
細菌性膣症
- 灰色っぽいサラッとしたおりもの。量はそれほど多くない
- アミン臭と言われる、生臭い魚の腐ったような悪臭がする
上記の特徴や症状は典型的なものであって、そのような異常がなくても細菌性膣症であることは珍しくありません。WHOの診断基準では
- 膣分泌物の性状は薄く均一である
- 顆粒状細胞質をもつclue cellsが顕微鏡で確認できる
- 膣分泌物に10%KOHを1滴垂らすとアミン臭がする
- 膣分泌物のpHが4.5以上である
の4項目中、3項目が当てはまれば細菌性膣症と診断されます。
細菌性膣症はデーデルライン桿菌が減少していくつかの嫌気性菌や好気性菌が繁殖することで起こりますが、そのような異常が起こっても半数は無症状のままと言われています。
つまり実際に細菌性膣症になっている人は見かけの2倍いるということで、女性の有病率(全体のうち細菌性膣症になっている人の割合)は10~40%にも上ります。
しかし多くの人がかかっているからといって安心できるものではなく、放っておくと内部へ感染が広がって、骨盤腹膜炎を引き起こしたり、早産や胎児への感染を起こすことがあります。
トリコモナス症
- 薄い膿状のおりもの。よく言われる泡立つおりものは必発ではない
- おりものは悪臭が強く、量も多い
30~40代に多いですが、若年から中年まで広い年齢層で発症します。
無症状例も多く、10~20%(時に50%)にも上ると言われています。
他の症状として、外陰部のかゆみ、灼熱感、膣壁の発赤などがあり、炎症反応が強い傾向にあります。
特定のパートナーがいる場合はお互いにうつし合うピンポン感染が起こるので、本人だけでなくパートナーも同時に治療をする必要があります。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/trichomonas/”]カンジダ症
- 白いカッテージチーズ様、粥(かゆ)状のおりものを生じます(同様のおりものは他の疾患でも見られることはあります)
- おりものの量は少ない(おりものは膣壁や子宮頸部に塊状に付着)
20~30代の女性に多いですが、あらゆる世代で見られる疾患で、女性の75%が生涯に1度は経験すると言われています。
感染性膣炎の原因の20~25%を占めます。
常在菌のカビの1種であるカンジダによって起こります。
そのため性病よりも体調不良や不潔がきっかけで発症することのほうが多いです。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/candida/”]子宮頸管炎
- 淡い黄色~黄白色で粘性~膿性のおりもの
- 量は多くない
これらの病気は無症状でも将来的に不妊の原因になることがありますので、決して放置してはいけません。
性病検査を受けることで感染を見つけることは容易ですから、感染した可能性がある時は症状がなくても積極的に検査を受けることが大切です。
感染が判明した場合には、淋菌とクラミジアどちらもピンポン感染が起こるので、パートナーとの同時治療が必要になります。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/neisseria/”] [blogcard url=”https://sticheckup.com/chlamydia/”]他にもある病的おりものの原因
おりものの原因としては他に、萎縮性膣炎、子宮内膜炎、卵管炎などに加えて、子宮頸がんや子宮体がんによるものもあります。
特に性交時出血や不正出血など出血を伴う場合は腫瘍のこともありますので、できるだけ病院を受診することをおすすめします。
子宮頸がん
- 初期は無症状
- 量が増えて茶色っぽい
- 進行するとおりものに血が混じる or 不正出血 or 性交時出血
ヒトパピローマウイルス(HPV)の高リスク型が関与して起こる病気です。
同じHPVで起こる尖圭コンジローマとはウイルスの型が異なります。
20~30歳の若い女性に多く起こります。
性行為で感染しますが、性病には分類されていません。
ワクチンで予防できるのですが、副作用が問題になって、現在、国は推奨していません。
なので、定期的に検診を受けて早期発見に務めることが大切です。
子宮膣部びらん
- 量が増える
- 不正出血 or 性交時出血
子宮の入り口にびらん(ただれ)ができます。
病的なものではなく、女性ホルモンの分泌が多い時期に生理的な反応として現れます。
子宮頸がんと症状がにているので、婦人科で検診を受けて診断してもらいましょう。
おりものや不正出血がひどい場合は手術で治療することもあります。
子宮頸管ポリープ
- 量が増える
- 茶褐色のおりもの
- いきんだ時に出血する
子宮頸管の粘膜からポリープ(良性の腫瘍)ができて、子宮の入り口に垂れ下がって来る病気です。
出産を経験した30~50代の女性に発生しやすいといわれていますが、原因ははっきりわかっていません。
治療は手術で切除することです。
おりものの状態を観察する習慣をつけましょう
上に書いたような、各性病に特徴的なおりものの異常を知っておけば、他に症状が出ていなくても体の異常に早く気づけるかもしれません。
特に女性においては、性病に感染しても無症状のことが少なくないので、おりもののちょっとした変化に気づくことができれば、早期発見早期治療につながります。
それは自分の健康を守るためだけではなく、パートナーや他の人へ感染を広げることを防ぐ意味でもとても大切です。
おりものを不快なものと片付けるのではなく、健康の指標として観察するようにしましょう。
おりものに異常がない=性病ではない、とは言えない
気をつけないといけないのは、おりものに異常がないからと言って性病が否定されるわけではないことです。
女性の性病ではおりものにさえ異常が現れないことも少なくありません。
おりものがいつもと変わらないことが、性病にかかっていないことの証明にはならないのです。
そのような無症状例では性病感染に気づくためには性病検査を受けるしか方法がありません。
不特定多数と関係を持っている or 特定のパートナー以外の人とセックスをしてしまったなど、感染の疑いがある時は積極的に検査を受けるようにしましょう。
あくまでも性病発見の指標の1つ
性病には感染ルートがいろいろとあって、膣性交だけが感染ルートだけではありません。
フェラチオやアナルセックスで感染するものや、キスだけで感染するもの、中には接触だけで感染するものもあります。
おりものの異常にいち早く気づくことは、性病感染を見つけるのに役に立つのですが、色々なタイプの性病をカバーできるものではありません。
あくまでも性病発見の指標の1つに過ぎないことを知っておいてください。
早期の性病発見には定期的な性病検査に勝るものはありません。
おりもののチェックは性病検査を補助する指標として活用するようにしましょう。
おりものの異常に気づいたら病院へ行くのがいいのですが、デリケートな問題だけに心理的なハードルは高く、結局病院へ行かないことも多いのではないでしょうか。
ちょっとした細菌バランスの乱れ(軽い細菌性膣症)で、自然に回復してくれればいいですが、他の性病でこじれてしまっては後々厄介です。
お医者さんへ行くのはどうしても抵抗がある場合は、性病検査キットを利用するのが最適です。
誰にも会うことなく自宅で検査できて検体を郵送で送るだけです。あとは数日後にネット(郵送、電話も可)で結果を見ることができます。
キットと言っても検査の内容や精度は病院で受ける検査とまったく同じです。
おりものの異常ならGME医学検査研究所の性病検査4項目が最適です。淋菌・クラミジア・トリコモナス・カンジダを検査できます。