最近は、出産前の検査はもちろんのこと、結婚前に行うブライダルチェック、さらには付き合う人がかわった時にカップルチェックまでして性病検査を行うことが推奨されています。
これらはもちろん本人やパートナーの健康と性病根絶のためでもありますが、女性の場合は将来の出産に備えてという大きな意味も持っています。
その大きな意味の1つは性病で不妊になってしまわないように、そしてもう1つは出産時に胎児や新生児に性病を感染させないためです。
この記事では、母体が性病に感染していた場合に、赤ちゃんにどのようなルートで感染し、どんな影響があり、どのような症状が出るのかをくわしくまとめましたので参考にしてください。
目次
赤ちゃんへの性病の感染経路とその影響
赤ちゃんへ性病が感染する可能性がある時期は、妊娠中・分娩時・出産後の3つに分けられます。
妊娠中に胎児に感染
お腹の中の赤ちゃんは胎盤を通してお母さんから栄養をもらっています。
お母さんが性病に感染していると、胎盤を通して赤ちゃんに病気がうつってしまうことがあります。
この感染経路のことを胎盤感染といいます。
経胎盤で感染するリスクのある性病
- HIV感染症
- 胎盤感染だけでなく、3つの時期いずれでも感染する恐れがあります。
しかし、母体に対して抗HIV療法(HAART)を行えば感染率を1%に抑えることができます。
母体のHIV-RNA量(血漿中のウイルス量で治療効果の目安)を1,000コピー/ml以下にすることができれば、赤ちゃんへの感染率を0%にすることができます。 - 梅毒
- 姙娠18週以降に赤ちゃんが梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)に感染すると流早産や死産の原因になることがあります。
無事生まれて場合も、先天梅毒で2歳までに発症(早発性先天梅毒)、あるいは2歳以降に遅れて発症(遅発性先天梅毒)します。
現在は妊娠時に感染が判明し、適切な治療が行われるので先天梅毒はほとんど起こることはないです。 - 肝炎ウイルス(B型、C型)
- 産道感染も起こりますので、分娩時に赤ちゃんができるだけ血液に触れないようにして、産後、B型肝炎ワクチンや免疫グロブリンを投与します。
C型肝炎に対する母子間の感染予防方法はありません。
胎児に感染しなくても、上行性(性器をさかのぼって)に感染するものにクラミジア、淋病、細菌性膣症、マイコプラズマなどがあり、流早産や子宮外妊娠の原因となることがあります。
分娩時に感染する性病と赤ちゃんの症状
お腹の中にいる時には赤ちゃんに感染していなくても、分娩時には産道である性器を通って生まれてくるので、その時に感染してしまう場合があります。
この感染経路のことを産道感染といいます。
産道感染リスクのある性病
- 淋菌感染症
- 新生児が産道で淋菌に感染すると、結膜炎、敗血症、関節炎、鼻炎、膣炎、尿道炎を起こすことがあります。
妊娠中に感染が判明した時は抗生剤を単回投与し、新生児に対して結膜炎の予防に抗生剤の点眼を行います。
必要に応じて新生児に対しても抗生剤の単回投与を行います。 - 性器クラミジア
- 感染している母親が治療をしていなかった場合、50~75%の確率で赤ちゃんに感染します。
20~50%に結膜炎、3~20%に肺炎が発生するとされています。
母親を適切に治療することで赤ちゃんへの感染を2%にまで減らすことができます。 - マイコプラズマ(ウレアプラズマも含む)
(関連疾患:非クラミジア性NGU) - 赤ちゃんへ感染が成立すると、先天性肺炎、髄膜炎、敗血症を起こすことがあります。
菌種によって判断が違い、母親への抗菌薬の投与が行われたりしますが、適切な治療方法は確立されていません。 - 性器ヘルペス
- 母体が分娩時に性器ヘルペスに初感染して発症していると、新生児への感染率は40~50%にも達します。
この病気の怖いのは感染した新生児の死亡率が20~30%にも上ることです。
母体が再発による発症では新生児への感染率は3~5%にとどまります。
妊娠中に発症した場合、抗ウイルス薬で治療することは可能です。
分娩時に性器に病変がでている場合は、帝王切開での出産が勧められます。 - 尖圭コンジローマ
- 感染経路は十分に解明されていませんが、産道での感染が考えられていて、赤ちゃんに尖圭コンジローマや多発性喉頭乳頭腫という病気を発生させる可能性があります。
注意しないといけないのは産後すぐに発症するのではなく、数年経ってから起こることが多いので長期に観察が必要です。
母体に病変があれば手術で取ってしまうか、出産方法として帝王切開を選択します。 - トリコモナス症
- 新生児に感染してトリコモナス症を起こすことはまれですが、早産の原因になることがあります。
妊娠12週以降であればメトロニダゾールなどで母体を治療します。 - カンジダ症
- 妊婦のカンジダ保有率は30%と言われていますが、実際におりものの増量や痒みなどの症状で治療が必要なのは15~30%とされています。
妊娠36週以降でカンジダが大量に検出される時は治療することが勧められます。
赤ちゃんの口に感染すると鵞口瘡(がこうそう)が生じます。 - B型肝炎
- 胎盤感染だけではなく産道感染も起こります。予防方法は上記参照。
出産後に感染する性病と赤ちゃんの症状
無事、赤ちゃんを出産できても、母親が性病に感染していると母乳を介して赤ちゃんにうつってしまうことがあります。
経母乳感染リスクのある性病
- HIV感染症
- 母乳を介しての感染も起こりますので、母乳で育てることはできません。
- 成人型T細胞白血病ウイルス
- 珍しいウイルスではなく日本には100万人のキャリア(持続感染者)がいると言われています。母乳から感染すると30年以上経ってから5%の確率で白血病が発症します。
母体の感染が分かった場合は人工乳や加工母乳を使うなどして感染を防ぐ手順に従います。 - B型肝炎
- 母乳での感染の可能性もあるとされています。
- 梅毒
- 乳頭付近に発疹があれば授乳によって感染が起こってしまう可能性があります。
赤ちゃんを守るために性病検査を受けましょう
妊娠時に感染が分かって慌てたりしないように、ブライダルチェックだけでなく定期的に性病検査をして将来の出産に備えましょう。
性病検査キットなら自宅で性病検査をすることが可能です
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