「エイズや梅毒に比べたら淋病は軽いよね」
「淋病ってクラミジアと大して変わらないでしょ」
一般に淋病はよくある性病の1つとして、治療も簡単なものと考えられがちです。
もし感染しても薬で治せばいいじゃん、くらいに軽く考えている方が多いんじゃないでしょうか?
確かに以前はそれほど注意が必要な性病ではなかったかもしれません。
しかし、最近は薬が効かなくなってきていて、けっして油断のできない性病になっています。
淋病にかかっても、ネットで治療薬を注文して自分で治療をしようとする人もいますが、現実を知ったらとてもそんな気にはならないはずです。
この記事では、淋病(淋菌感染症)治療の現状についてまとめてみました。
どんな治療薬が使われ、どのくらいの効き目があるのかをどこよりも詳しくまとめていますので参考にしてくださいね。
淋病ってどんな性病なのか詳しく知りたい人は以下の記事をご覧ください。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/neisseria/”]目次
淋病に使われる治療薬はこれだけ
以前は淋病治療に使われてよく効いていた治療薬に対し、淋菌は次々に耐性を持つようになっています。
今では、確実に効果が期待できる治療薬は、後述する注射剤のセフトリアキソンとスペクチノマイシンの2つだけになってしまいました。
もう1つセフォジジムという薬も有効だったのですが、残念ながら2016年3月で発売中止になっています。
セフトリアキソン
淋病治療の第一選択薬です。静脈注射用の製剤しかありません。
日本性感染症学会において、あらゆる部位の淋菌感染症の治療に推奨されています。
淋菌性尿道炎・子宮頸管炎
ロセフィン :1g 静脈注射1回投与
淋菌性咽頭炎(ノドへの感染)
ロセフィン :1g 静脈注射1回投与
※淋菌性咽頭炎に推奨されている薬剤はセフトリアキソンだけです。
淋菌性精巣上体炎
ロセフィン :1g 静脈注射1~2回 1~7日間
重症度に応じて回数が変わります。
淋菌性骨盤内炎症性疾患
ロセフィン :1g 静脈注射1~2回 1~7日間
重症度に応じて回数が変わります。
淋菌性直腸炎
ロセフィン :1g 静脈注射1回投与
播種性淋菌感染症
ロセフィン :1g 静脈注射1回 3~7日間
重症度に応じて回数は変わります。
淋菌性結膜炎
ロセフィン :1g 静脈注射1回投与
※淋菌性結膜炎への使用は保険適用外です。
スペクチノマイシン
淋病治療の第二選択薬です。筋肉注射用の製剤しかありません。
スペクチノマイシンは咽頭への効きが悪いので、咽頭炎への使用は推奨されていません。
淋菌性尿道炎・子宮頸管炎
トロビシン :2g 筋肉注射1回投与
淋菌性精巣上体炎
トロビシン :2g 筋肉注射1回投与、3日あけて再投与
重症度に応じて回数は変わります。
淋菌性骨盤内炎症性疾患
トロビシン :2g 筋肉注射1回投与、3日あけて再投与
重症度に応じて回数は変わります。
淋菌性直腸炎
トロビシン :2g 筋肉注射1回投与
淋菌性結膜炎
トロビシン :2g 筋肉注射1回投与
アジスロマイシン
セフトリアキソンとスペクチノマイシンがアレルギーの問題などで使えない場合にのみ、使用が考慮されます。
今のところ90%以上の有効率とされていますが、感受性の低下や耐性菌が増加している報告があって、いずれは効かなくなってくると考えられます。
クラミジアと合併している場合、クラミジアと淋菌両方に効くアジスロマイシンは病院でも処方されることがありますが、後述するように、耐性菌を助長するとして専門医の間でも使用しない方が良いという声が高まっています。
ジスロマックSR:2g 1回服用
他の淋菌感染症保険適用薬
淋菌感染症治療に保険適用が認められている治療薬には他に、
これだけのものがあります。
当初はよく効いたからこそ保険適用を認められたのですが、今では第3世代の経口セフェム(セフィキシム、セフチブテン、セフテラム、セフジニル、セフポドキシム、セフカペン)の薬で50~70%にしか効果がありません。
さらにテトラサイクリン系(テトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン)やニューキノロン系(オフロキサシン、レボフロキサシン、シプロフロキサシン、トスフロキサシン、ノルフロキサシン、ロメフロキサシン)の薬ではたった20~30%にしか効果がありません。
つまり、保険適用はされていてもこれらはあまり使えない治療薬ということです。
セフトリアキソン、スペクチノマイシン、アジスロマイシンが何らかの理由で使用できない時にしか使われることはないでしょう。
驚異の多剤耐性菌が生まれた淋菌
現在の淋病治療にとって、セフトリアキソンとスペクチノマイシンは最後の頼みの綱といっていいような状況です。
にもかかわらず、2009年に京都の風俗店に勤める女性の咽頭から、世界で初めてセフトリアキソン耐性の淋菌が確認されました。
この分離された菌はセフトリアキソンだけでなく、テトラサイクリン系、ニューキノロン系、経口セフェム、マクロライドなども効かない多剤耐性菌だったのです。
その後、多剤耐性淋菌はフランスやスペインでも確認されましたが、全世界で見つかった5例中3例が日本(京都、名古屋、大阪)で見つかっています。
2013年にアメリカ疾病対策センター(CDC)は「もっとも脅威である細菌」として、3つの細菌を発表しましたが、そのうちの1つとして多剤耐性淋菌が挙げられているのです。
そんな恐ろしい淋菌が日本に集中して発見されているなんて…
この多剤耐性淋菌がまん延してしまったら、打つ手はないかもしれません。
男性のみなさん、風俗で遊ぶ際には注意してくださいね。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/fellatio/”]追記:どの抗生剤も効かない超スーパー淋菌が出現?!
2018年3月29日に衝撃的なニュースが世界を駆け巡りました。
どんな抗生剤も効かないスーパー淋菌がイギリスで発生したとのことです。
[blogcard url=”http://www.bbc.com/japanese/43579331″]各ニュースサイトで続々と取り上げられていますね。
最初は、”スーパー淋菌”がイギリスで初めてみつかったというニュースなのかと思いました。
しかし、このBBCニュースの内容からすると、どうやら以前から報告されているスーパー淋菌を上回る耐性を持つ菌株があらわれたようです。
記事中に、
世界保健機関(WHO)や欧州疾病予防管理センターも、今回の感染は過去に例を見ないとの見方を示している。
とありますからね。
記事をよく読んでみると、セフトリアキソンとアジスロマイシンの両方が効かなかった初めてのケースのようです。
現在、その患者さんは唯一残った淋菌治療薬を投与されて効果を確認中とのことです。
良くなるといいですね。
ニューズウィークの記事がよりわかりやすいです。
[blogcard url=”https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2018/03/post-9848.php”]クラミジアの同時感染は別々に治療すべき
淋病はクラミジアとよく同時感染を起こします。
その際に、両方に効く薬としてアジスロマイシン(ジスロマック)を使用するかどうかが問題になります。
海外では、ジスロマックで同時治療をするガイドラインを作っている国もありますが、日本では推奨されていません。
淋病に対しては、やはり確実に効果の上がるセフトリアキソンかスペクチノマイシンを使用し、クラミジアに対してはジスロマック以外の薬剤で治療するべきとされています。
上で述べたように、ジスロマックに耐性を持った淋菌が増えてきているので、なるべく避けたほうがいいとのことです。
ネットでジスロマックを買って自分で治療するというのが危ない行為であることを分かっていただけたでしょうか?
自己治療は耐性菌を増やすリスクを高めるので、できるだけ止めておきましょう。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/tuhanyakudame/”]パートナーと一緒に検査・治療が必要
淋病でも、クラミジアでみられるような無症状例がよくみられます。
淋菌に感染すれば、必ずオシッコをする時に痛くなったり膿状のおりものが出るものと思い込んでいると、淋病を見逃してしまいます。
無症状のケースがあるということは、無症状のパートナーが感染源となって相手が再発を繰り返す、ピンポン感染も起こるということです。
なので、特定のパートナーがいる人は必ず、パートナーにも検査を受けてもらい、感染しているのなら一緒に治療を受けるようにしましょう。
[blogcard url=”https://sticheckup.com/pingpong/”]必ず、確認の性病検査を受けましょう
淋病は、20~30%の確率でクラミジアとの同時感染がみられます。
また、性器への淋菌感染がある時は10~30%の確率で咽頭への感染が認められます。
そのため、淋病の疑いがある時は性器の淋菌感染単独で調べるのではなく、クラミジア+咽頭感染のチェックを同時に行いましょう。
さらに、治療後は淋菌がいなくなったことを確かめる確認検査を忘れずにしましょう。
では、有効とされているセフトリアキソンやスペクチノマイシンで治療しても、確認検査がなぜ必要なのでしょう?
なぜなら、セフトリアキソンやスペクチノマイシンを使用したとしても完治しない場合もあるからです。
効かないわけではないんですが、いろんな条件が重なって淋菌を根絶するまでにはいたっていない場合もあります。
また、上の治療方法に挙げたように、淋菌性骨盤内炎症性疾患や淋菌性精巣上体炎や播種性淋菌感染症では、治療は1回では完了しません。
当初は、性器(あるいはプラス咽頭)の淋菌感染症だと判断されたものが、実は深部にも感染が広がっていた、なんてこともありえます。
なので、治療を終えて症状が治まっていたとしても、できるだけ確認検査をすることをおすすめします。
まとめ
淋病は、今のところ治療することはできますが、残されたカードは多くありません。
いつ、手札がなくなってしまうかわからない状態です。
ひょっとしたら、人類を脅かす感染症になってしまうかもしれません。
なので、怪しいと思ったら積極的に性病検査を受けて早期発見し、病院でしっかりと治療してもらうことを心がけてください。
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